TANKANESSライター、TANKANESSの投稿欄「階段歌壇」の選者としても活躍される歌人、橋爪志保さんの第一歌集『地上絵』が2021年4月に書肆侃侃房から発売されます!おめでとうございます!
橋爪さんはTANKANESSの投稿欄「階段歌壇」選者、「宇都宮敦「現代短歌」作品連載を読む!」シリーズなど、短歌の評をたくさん書いていただきました。
そのほかにも「自分の短歌を「いらすと化」してみた」のようなおもしろ記事、「オンライン歌会をやってみよう!〜TANKANESS ZOOM歌会の記録〜」のレポート記事など、TANKANESSで最も記事を書いている歌人なのです。
そんな橋爪志保さんの歌集発売を記念して、発売前の事前インタビューを行いました!
書籍化に対する橋爪さんの思いやこだわりをお読みください!
第一歌集『地上絵』発売直前!橋爪志保さんインタビュー
Q. 橋爪さんの短歌の経歴を教えてください。
穂村弘さんや、雪舟えまさんの作品がきっかけで短歌に興味を持ちました。
本格的に作り始めたのは2013年に京大短歌に入会してからですね。その時に知り合った短歌の仲間とは、今も続いている「羽根と根」をはじめとしたたくさんの短歌同人誌を出しました。
同人活動とともに、賞への応募もしていたのですが、2020年に、「第二回笹井宏之賞」の個人賞にあたる永井祐賞を受賞します。大賞(副賞は歌集出版)は逃したので悔しかったのですが、これを機に今までの短歌をまとめて本にしたいという思いが強くなり、このたび書肆侃侃房さんから歌集を出版することになりました。
Q. 第一歌集がもうすぐ発売されますが、今の心境を教えてください。
どきどきしています。
「書物を世に問う」ということは、一首を発表することや、同人誌を出すこととはたぶん大きく違っていて、きっと予想もしなかったようなところにまで届くことがあるんじゃないかと思っています。だからそのためには、覚悟が必要なんだろうと思う。今までの人生でしたことがないタイプの緊張をしていますね。
けど、不安はありません。いいものができたと確信しているし、自信がありますから。そう思うと、やっぱり今の一番の感情としてはよろこびが大きいです。わたしの歌集と、読者のひと。どんな出会いが待っているんだろう、とこれから船旅に出る海を見渡すような気持ちです。
また、今まで創作活動をするにあたって、たくさんのひとの力を借りてきたので、なんとしてもその恩返しをしたいという思いがあります。歌集を出版するにあたって、いろんなひとに「おめでとう」って言ってもらえたんですよね。いろいろ相談にものってもらった。だから、大勢の方々の思いを背負っているアスリートみたいな気持ちもあります。短歌に勝ち負けはないかもしれませんけどね。
Q. 書籍化が決定してからこれまで大変だったことやうれしかったことを教えてください。
大変だったことは、そんなにないんですが、しいていうなら編集者さんとのメールとか電話のやりとりとかですかね(笑)わたしはあまり社会経験みたいなものがないのと、連絡無精だったので、かしこまった連絡をするたびに毎回背筋がのびていました。まあ、これはわたしの人間性がダメダメなせいなんだけれど……(苦笑)
逆にいうと、選歌や作品のとりまとめや整理で困ることはほとんどありませんでした。寡作なのと、作った歌はほとんど発表しているのもあり、サクサクと作業はすすみました。
うれしかったことは、歌集を出せること自体が本当にわたしにとって嬉しいことなので、「全部!」と言いたいところですが、やっぱりずっと憧れていた宇都宮敦さんに解説を書いていただけたこと、ファンだったイケガミヨリユキさんに装画を描いていただけたことは大きなよろこびでした。OKがもらえたとき、本当に泣きそうになりましたね。夢か!?と何度も頬をつねりました。
Q. 書籍のこだわりや「ここに注目してほしい!」という思いを聞かせてください。
装画の話になるのですが、『地上絵』は、本の「袖」の部分(表紙にカバーを巻いたときに、内側に折り込まれる部分)まで絵が入るんです。つまり、もとの絵は絵巻物のようにグワーっと横に長いんですね。本になることで表紙にならなかった部分や隠れてしまった部分、つまり、裏表紙や、帯の下、袖部分などにも、かわいい仕掛けがいっぱい施されているので、ぜひぜひ、カバー全体を見ていただきたいです。
中身は、全部注目してほしいのですが、あまり読まれていない初期の作品も少しだけ入れたので、「あ、橋爪こんなのも作ってたんだ」みたいな感じで読んでもらえればうれしいです。
Q. 歌集『地上絵』はどんな方に読んでほしいですか?また、どんな歌集になってほしいですか?
どんな方にでも、読んでほしいです。どんな方にでも、というのはほんとうにどんな方にでも、という意味で、例えば、短歌を全然知らないひとや、わたしのことを全然知らないひとにも、ということです。
Twitterに、英語で自己紹介を書いて書影を載せたら、すごくリツイートされたんですね。だから、もしかしたら普段日本語の文字を読まないひとまで届くかもしれない、と可能性を感じています。
でも、かつてわたしが雪舟えまさんの作品をむさぼるように読んだのと同じように、短歌にちょっと興味を持っている過去のわたしとそっくりの子が、ふわりと何かの縁でわたしの歌集を読んでくれることがあったら、わたしは生きててよかったなあとまで、思うんじゃないか。そうも思います。その「そっくりの子」について、わたしは名前はおろか、どこにいるのかもわかりません。わたしはそこへは行けないけれど、わたしの本なら、そこへたどり着ける気がするんです。そこへ必ずたどり着いてくれるような、そんな歌集になってほしいです。
Q. 発売後の野望など、これからの橋爪さんの未来予想図を教えてください
具体的なことは、第一歌集の評判を聞いていたら、おのずと考えが浮かんでくるのではないか、と思っていて、特になにも考えていないのですが、イベントや批評会、読書会などがやりたいですね。
いまはコロナ禍でなかなかすぐできることではないとは思うのですが、わたしは授賞式(永井賞の)がコロナウイルスのせいで中止になってしまったので、ウイルスへのうらみはすごくあって。なので、対面のイベントができるようになるまで待って、それから盛大にやりたいです。
また、気が早すぎるかもしれませんが、第二歌集のことはもう考えています。仮タイトルと、装画を描いていただけたらいいのにと思っている画家の方はもう決まっていて、あとは歌がそろうだけ(それが一番大変なのはわかっていますが)なんです。
ひとまずは、第二歌集が出るまで、生きたいですね。短歌という生きる望みの力を借りて、なんとか日々をやっていきたいです。
まとめ
橋爪さんの歌集は2021年4月発売予定です。
この機会に橋爪さんのことを知った方も、ぜひTANKANESSの記事を読んでみてください!
たくさん記事があるので、読みながら歌集の発売を待ちましょう!
*橋爪さんの過去の記事はこちら
また、「階段歌壇」も引き続き毎月募集しています。
*だいたい毎月5日から25日で募集をして、翌月の5日ごろに記事にて発表を行っています。
橋爪さんに自作の短歌を読んでほしい!という方はぜひ挑戦してみてください!
以下、書籍情報です。
書籍情報
『地上絵』橋爪志保定価:本体1,700円+税
装丁:成原亜美(成原デザイン事務所)
装画:イケガミヨリユキ
解説:宇都宮敦
出版社:書肆侃侃房
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