自分の短歌を「いらすと化」してみた

企画

みなさんこんにちは、TANKANESSライターの橋爪志保です。

TANKANESSでは、ありがたいことにたくさん記事を書かせていただいていますが、今回は連載ものの記事ではなく単発の企画記事です!

突然ですがみなさん、

「いらすとや」って知ってますか?

いらすとや」とは、イラストレーターのみふねたかしさんの運営するイラストサイト。規約を守れば、掲載イラストを無償で使用することができます。

ネットを中心にしてブームになったこともあり、絵を見たら、「あ!知ってる!」という方も多いんじゃないかと思います。基本的にはほのぼのした画風なんですが、その「いらすと」の恐ろしいまでの幅広さから、どこか見ていると笑いがこみあげてきます。ニッチな需要にも応えられるようにできているサイトなので、サイトを見ているだけでも十分な娯楽になりそうです。

ニッチな需要に応えられる絵の例として、いくつか挙げてみましょう。
「いらすとや」には、ランダムで画像を出してくれるボタンがあるのですが、そのボタンを試しにクリックしてみました。するとたとえばこんなのが出てきます。

お医者さんが、患者さんの口から胃カメラ(胃内視鏡)を入れて、食道・胃・十二指腸などを検査しているイラスト

カレーなどのエスニック料理に香辛料(スパイス)として使われるクミンを粉状にしたクミンパウダーのイラスト

パチンコなどのギャンブルで得た景品をお金に換金するために使われる景品交換所(換金所)のイラスト

 

ーーこれだけ幅広くニッチなものまで網羅している「いらすとや」なら、「いらすとやの素材で短歌も再現できるのでは? 

ということで、

自分の短歌、「いらすと化」してみた~~~~!!!!!!!!!!!!!

 

橋爪志保

歌人。2013年に作歌を始める。京大短歌を経て、現在は同人誌「羽根と根」所属。その他の参加同人誌に、「鴨川短歌」「のど笛」「短歌の世」など。著作に、合同歌集『ベランダでオセロ』。第二回笹井宏之賞にて永井祐賞受賞。
Twitter @rita_hassy47
note https://note.mu/ooeai
通販 https://hassytankashop.booth.pm/

自選短歌

I am a 大丈夫 ゆえ You are a 大丈夫 too 地上絵あげる

 

というわけで、題のとおりです。わたくし橋爪志保の短歌の内容を、一首ずつびしばし容赦なく「いらすと」化していきます。

もしも「詩情の神様」がいたら半殺しにされそうな企画ですが、今日だけはちょっとお許しをもらいましょう。

嫌な予感がしますね。予感は一切無視して、早速一首目です。

 

I am a 大丈夫 ゆえ You are a 大丈夫 too 地上絵あげる/橋爪志保(連作「地上絵」より)

 

一応(?)わたしの代表歌です。大いなる励ましの歌ですが、こちらを「いらすと」化してみましょう。果たして……ドン!

I am a 大丈夫 ゆえ You are a 大丈夫 too 地上絵あげる

 

「I am a 大丈夫 ゆえ You are a 大丈夫 too」の根本的な理不尽さが存分に発揮された絵になりました。

わたしが大丈夫だからといって、てめーも大丈夫とは限らねーんだよ。

でも、そんな「あなた」が危機的な状況にいるときほど、あげたくなりますよね。地上絵。

え?ならない……???

 

いらすと化した結果①:抽象的な概念が表現できない

 

さて。一首目で抽象的な概念の表現が難しいことが判明しましたが、がんばっていきましょう。二首目です。

 

きみの免許証のきみはさびしそうシールを貼って喜ばせよう/橋爪志保(連作「世界中の鳥の名前」より)

励ましの歌が続きますね。それでは……ドン。

きみの免許証のきみはさびしそうシールを貼って喜ばせよう

 

シ……シール本当に貼っちゃダメーーー!!!!!

わたしの作る励ましの歌って、傲慢なのが多いんですね。

「いらすと」化するまで気がつかなかったです。

いらすと化した結果②:「ツッコミ待ち」系の歌のボケが強調されて恥ずかしい

 

 

お次は三首目。「いらすと」を合成しまくることで、ちょっと複雑な歌も作れるのでは?と思い立ちました。

 

透明な箱をみんなで持ちあげて橋の上から川へおとした/橋爪志保(連作「銀色の靴」より)

 とある幻想文学から着想を得た光景を歌にしたものですが、作ってから何年経っても、不思議な感情がわいてくる歌です。

さて、どうなるでしょう。ドン!

透明な箱をみんなで持ちあげて橋の上から川へおとした

なるほど。

わたしは今、泣きながら笑いをこらえています。

 

いらすと化した結果③:シュールさが限界値を超えてミステリアスさがなくなる

 

めげずに四首目にいきましょう。

 

イヤホンと路上ライブが重なって生まれるあたらしい音楽が/橋爪志保(連作「風なら」より)

早速いってみましょう。ドン!

イヤホンと路上ライブが重なって生まれるあたらしい音楽が

 

いらすと化した結果④:路上ライブの人があからさまにかわいそうすぎる

 

最後に五首目です。

 

滝のようにきれいな猫が逝く朝にすべての金縛りは解けるよ/橋爪志保(連作「息の根を呼びとめて」より)

 これまでの四首を作った経験をふまえて、この歌の「いらすと」はちょっと趣向を変えてみました。なぜ、「滝のようにきれいな猫が逝く朝にすべての金縛りが解ける」のかを考えました。ドン!

滝のようにきれいな猫が逝く朝にすべての金縛りは解けるよ

 

そっか~~~。猫、きみが「金縛り」の直接の原因だったんだね。そりゃ、きみが「逝」けば、「金縛り」も解けるわ。悲しいけども。なるほどね。

まさか、「いらすとや」に自分の短歌の「「「真相」」」を教えてもらう日が来るとは思いませんでした。

しかも、この「いらすと」は合成ではありません。そのまま1枚だけ使っています。

 

いらすと化した結果⑤:「いらすとや」に「「「真相」」」を教わるな

 

いかがでしたか。「いらすとや」で短歌、画像を作っているうちは楽しいですが、ふと我にかえるとハードな虚無が襲ってくることがわかりました。

 

結論:「いらすとや」には勝てない!!!!!

 

 

みなさんも自分の短歌をぜひ「いらすと」化して遊んでみてくださいね。

 

TANKANESSからのお約束

・短歌の「いらすと」化を行う場合は、「いらすとや」の規約を守りましょう。

・他のひとの短歌を「いらすと」化したい場合は必ずそのひとの許可をとりましょう。

 

この記事を書いた人

橋爪志保

歌人。2013年に作歌を始める。京大短歌を経て、現在は同人誌「羽根と根」所属。その他の参加同人誌に、「鴨川短歌」「のど笛」「短歌の世」など。著作に、合同歌集『ベランダでオセロ』。第二回笹井宏之賞にて永井祐賞受賞。
Twitter @rita_hassy47
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自選短歌

I am a 大丈夫 ゆえ You are a 大丈夫 too 地上絵あげる

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