僕が短歌結社に入るまで<2>

コラム
現在、短歌結社*「かりん」に所属する小田切拓が、はじめて短歌を作ってから短歌結社*に入るまでのことを記したエッセイを3回に分けてお送りします。
第1回でははじめて短歌を作ったきっかけと、俵万智さんが選者をつとめる雑誌「考える人」の投稿欄に投稿した日々のことを書きました。

第1回はこちら

*「短歌結社とは」?
短歌の掲載誌を発行したり歌会などの活動を行う集団。主に主宰者と他の選者などの方が中心となって活動する。その人に合う結社選びをすると、自作の成長や豊かな人間関係にもつながる。

 

僕が短歌結社に入るまで<2>新聞歌壇に送ったきっかけ〜選者を選ぶこと

「考える短歌」のコーナーがなくなった僕は次の投稿場所を探すことになった。

それが読売歌壇である。理由は一つだけ。自分の歌を作者の僕が気づかないところまで読み解いてくれた俵万智さんに、引き続き読んでもらうためだ。

ここで閑話休題。実は、新聞歌壇は各新聞によってルールが違う。簡単にまとめてみよう。

※2022年3月時点の情報です。

①朝日新聞(選者:永田和弘、馬場あき子、佐々木幸綱、高野公彦の四氏)
歌壇コーナーに送り、全員に読んでもらえる。選ばれる歌には、一人の選者からの場合もあれば複数の選者から選ばれる場合もある。はがきによる応募で、1枚につき1作品まで。

②読売歌壇(選者:小池光、栗木京子、俵万智、黒瀬珂瀾の四氏)
特定の選者を決めて、その選者のみに見てもらう。一回の応募につき1首まで。ネットの応募フォームとハガキのどちらでも投稿出来る。

③毎日歌壇(選者:米川千嘉子、加藤次郎、篠弘、伊藤一彦の四氏)
読売歌壇と同じく、希望選者ありのシステム。1回の応募につき2首まで。ネットの応募フォームとはがきのどちらでも投稿出来る。

この後、朝日歌壇の選者・馬場あき子先生と毎日歌壇の選者・米川千嘉子さんが所属する短歌結社「かりん」に入り、充実した日々を過ごすことになるのはまだまだ先の話だ。

希望選者ありのメリットは、「この人に見てもらいたい!」というモチベーションで作った歌をピンポイントでもらえること。

希望選者なしのメリットは、送った一首が、新聞歌壇の選者全員に目を通してもらえること。

歌人に疎ければ、掲載紙を見て何となく自分の作風に合いそうな新聞歌壇に送ってみるのも手かもしれない。逆に、敬愛する歌人がいて、その人が選者を務める新聞歌壇が希望選者ありの場合、丁寧に見てもらえるチャンスだ。新聞歌壇は、選者が三人ならそれぞれ均等に三等分のスペースが与えられるから、好きな歌人に向けて特化した歌を送ることができる。

ちなみに、最近ではどの新聞歌壇もネットで簡単に応募できるようになっている。

「新聞歌壇以外にも、雑誌「ダ・ヴィンチ」の「短歌ください」など、短歌の投稿欄はたくさんあった。
そのなかから僕が選んだのは読売歌壇だった。

そして、僕の読売歌壇での結果について。確か7、8回応募した。選ばれた回数は克明に覚えている。コメント付きの選が1回。歌のみの掲載が1回である。

コメント付きの選をいただいた短歌は

「コーヒーを飲みそう」という一言が今コーヒーを俺に飲ませる

である。コメントは、

気になる女性の一言だろうか。本来の自分より、あるべき自分を演じてしまう感じが、コーヒーを小道具に、よく出ている」だった。

そして、後者が、

蓬莱の玉の絵なんか渡してもあの子は困った顔をするだろう

である。特に一首目は知人には分かりづらい歌として受け止められることが多かったが、僕の意図は「コーヒーを飲みそう」という「気になる女性の」言葉が俺にコーヒーを飲むよう命じているようだ、だった。一種の擬人化である。

どちらも相聞歌だが、思い切って家族や「考える人」をプレゼントしてくれた親類に見せた。
その時に疑問もぶつけてみた。前者の短歌を翻訳したらどうなるだろう。英語が堪能な父に話すと、

これは難しいだろうな。言葉そのものの特性をフルに使って短歌にしている訳だから

僕の歌はビジュアル化したり、多言語に置き換えることはきっと難しい。それは、言葉遊びを尽くしているから。自分の歌風が分かったような気がした体験だった。〈続く〉

 

この記事を書いた人

小田切拓

92年生まれ。「かりん」所属。18歳の時、手に取った雑誌で短歌投稿コーナーを見つけ、歌を詠み始め楽しさを知る。結社に入り、より倍増。友人が引くほどのサッカーオタク。第66回角川短歌賞予選通過。

Twitter@rKGlC6f6HEUiU2r

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