短歌の最初の一歩を踏み出そう!<2>短歌の作り方の基本

コラム

こんにちは!図書館で働く傍ら歌人として短歌を詠んでいる小田切拓と申します。

「短歌の最初の一歩を踏み出そう!」という連載、前回は短歌を作ったことのない人向けに、①「基本的なルールや用語の説明」に関する記事を書きました。

今回の記事では②「短歌の作り方の基本」というテーマでお送りします。「短歌あるある」を交えながら初心者の方が短歌を始めるきっかけになればと思います。

この次の記事では最終回③「プラスαの実践論!作り方の応用」を読んでいただき、最終的に「はじめての歌」を作ってもらえるような内容で締めくくろうと思います。最後までどうぞ、よろしくお願いします!

 

小田切拓

92年生まれ。「かりん」所属。18歳の時、手に取った雑誌で短歌投稿コーナーを見つけ、歌を詠み始め楽しさを知る。結社に入り、より倍増。友人が引くほどのサッカーオタク。第66回角川短歌賞予選通過。

Twitter@rKGlC6f6HEUiU2r

自選短歌

落ち込んで「辛い」とぼやく僕の手を祖父が黙ってギュッと握った

短歌の作り方の基本

では実際に短歌を作ってみましょう。と言っても、いきなり筆が動いて短歌が作れる人はそういないはずです。まずは短歌の「作り方の基本」を「短歌あるある」交え紹介します。この項を読みながら、できれば興味を持っている歌集を並行して読むことで、短歌を作る基礎を固めていきましょう。

 

1. 字余り・字足らずは恐れない!定型(五七五七七)は必ずしも守らなくても良い

歌を作っていてちょっとでも5音や7音に収まらないと、「失敗した!」と思ってしまう方もいるかも知れません。しかし実は、字余り・字足らずのない歌というのは、あまりないものです。

字余り・字足らずは恐れない。もしそうしているうちに作り方がわからなくなったら、もう一度定型を頼りに整えていけばいい。定型とは、かりそめの止まり木に過ぎません。

 

2. 声に出して読んでみよう!短歌は国語と言うより音楽的?

短歌を詠む際に心がけてみていただきたいのは、言葉を区切る時、語数ではなく音数で区切ってほしいということです。例えば、以下の短歌を五七五七七に区切ってみましょう。

男ではなくて大人の返事する君にチョコレート革命起こす(俵万智『チョコレート革命』)

 ↓

男では/なくて大人の/返事する/君にチョコレート/革命起こす

 

「チョコレート」は文字数は6文字ですが、音数としては5音として数えます。何故なら、5文字ではないが、読み上げたときに音が5音だからです。ということは、「君に」(3音)と「チョコレート」(5音)で計8音。四句目は本来7音なので1文字ぶん字余りですが大きく逸脱していないことが分かります。それに何より、字余りにも関わらず「君にチョコレート」は音として心地良いのです。

自分の歌に迷った時は、声を出して、読み上げてみて下さい。七五調のリズムに合っているのなら、それはよく出来た短歌だということです。そういう意味では、短歌とは国語的と言うより音楽的な要素が強いのかもしれません。

 

3. メモを取る習慣をつける

生活で、心に残ったこと、会話、景色などをどんどんメモしてみましょう。オススメはスマートフォンか携帯電話のメモ帳です。手書きの習慣がある方は、紙のメモ帳でも問題ないと思います。歌の題材になることが7音や5音、それを分解した3音や4音の言葉に変換できれば、そのフレーズはすぐに歌に使う言葉に繋がります。

 

4. ジグソーパズルように短歌を作る

短歌は五七五七七のどの部分から書き始めても大丈夫です。順番は気にせず、浮かんだところから書き始めていくといいでしょう。一箇所すごく素敵なフレーズが浮かんだけど、他がなかなか出来ないというのも短歌ではよくあることです。そういう時は、1回その歌は寝かせておいて別の歌に取り組むのもひとつの手だと思います。

 

5. 詠草に出す自作の選び方(自信作と評価される歌)

自信満々で人に見せた歌が酷評され、適当に作った歌が皆に絶賛される。なかなか堪えるものですが、これは最大の短歌あるあると言っても過言ではないでしょう。

とにかく、誰かに読んでもらって感想をもらわないと気づけないこともあるものです。最初は気恥ずかしいものですが、短歌結社(本格的に短歌を詠み、批評会をしたりと活動している会のこと)などの歌会に参加していくと、意見を受け止めるのに慣れてふてぶてしくなっていくものです。

そして、作り方の基本の延長になりますが、人に見せる自作の選び方について。
ひとつは自分の価値観としてはどんな歌を詠みたいか。ふたつ目は俯瞰的してどんな歌が評価されるか。ふたつの目で自らの歌を客観的に見られると、成長につながりますよ!

 

6. 本当のことしか書いちゃダメ?

一般的にはそういった決まりはありません。師匠のいる歌人によっては禁じられているのかもしれませんが、あまり聞いたことがありません。明らかに事実を捻じ曲げる内容は当然よくありませんが、実体験の脚色程度に関しては問題ないとされていることが多いです。

 

ちなみに

「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日/俵万智『サラダ記念日』

という、あの有名な歌のモデルになった体験は、サラダではなくて唐揚げ(カレー味)を恋人に振る舞った体験に脚色を加えたものだそうです。サラダの持つ爽やかさと七夕の前日という時期の組み合わせが絶妙ですね。

もし、この歌が唐揚げのままで歌集のタイトルも『唐揚げ記念日』だったら…。『サラダ記念日』のようなベストセラーにはならなかったような気がします。

 

7. 創作における好不調の見極め方(そもそも、書いたうち1割が成功作ならもうけもの)

よく「かつてのイチローや大谷翔平でも3割しかヒットを打てない」と言ったりしますが、短歌もそのくらいと思っていただいて問題ないと思います。あまりうまく作れない時は1割ほどになることもしばしばです。

ただ、短歌は短い言葉で形作るので、ひとつ仕上げるのに時間のロスが少ないです。ミスを恐れず、ガンガン気楽に書いて下さい。巧く書こうなど思わずに、何か言葉が浮かべば書くべきです。

 

最後に

作り方にもベースとなる習慣が必要で、今回の記事ではそんな作歌の役に立つエトセトラについて書きました。

次回はいよいよ、シリーズ最終回!
実際に1つの歌を使って作り方の過程③「プラスαの実践論!作り方の応用」について書きます。もしよろしければ読んでいただければ幸いです!それではまた!

 

この記事を書いた人

小田切拓

92年生まれ。「かりん」所属。18歳の時、手に取った雑誌で短歌投稿コーナーを見つけ、歌を詠み始め楽しさを知る。結社に入り、より倍増。友人が引くほどのサッカーオタク。第66回角川短歌賞予選通過。

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自選短歌

落ち込んで「辛い」とぼやく僕の手を祖父が黙ってギュッと握った

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