短歌の最初の一歩を踏み出そう!<1>短歌の基礎知識&基本ルール編

コラム

はじめまして。図書館で働く傍ら、歌人として短歌を作っている小田切拓と申します。

このシリーズは、短歌を作ったことのない人に「はじめての歌」を作ってもらうことが目的です。基本的なルールや用語の説明、具体的な実践テクニックなどを3回にわけて書いていきます。

どうぞ、よろしくお願いいたします。

 

① 短歌の基礎知識や基本ルール

② 短歌の作り方の基本

③ プラスαの実践論

のうち、今回は①「短歌の基礎知識や基本ルール」について書いていきます。ぜんぶ合わせて短歌入門三部作となっていますので、どうぞお付き合いください!

 

小田切拓

92年生まれ。「かりん」所属。18歳の時、手に取った雑誌で短歌投稿コーナーを見つけ、歌を詠み始め楽しさを知る。友人が引くほどのサッカーオタク。第29回現代学生百人一首入選。第42回かりん賞受賞。第66・67・68回角川短歌賞予選通過。

Twitter:@rKGlC6f6HEUiU2r

note:https://note.com/takuan12/

自選短歌

落ち込んで「辛い」とぼやく僕の手を祖父が黙ってギュッと握った

五七五?五七五七七? 俳句や川柳との違いは?

日本の定型詩(ていけいし)は七五調の言葉を使った詩です。定型詩には、短歌のほかに俳句、川柳があります。では、この三つはどう違うのでしょうか。

結論から言うと、俳句と川柳は五・七・五で出来ていて、五・七・五に七・七がつくのは短歌だけです。

では、俳句と川柳の違いについてです。俳句は基本的に季語という季節を表現する単語がなくてはありません。逆に川柳は季語がなくてもかまいません。そのため自然と俳句は四季折々の風景描写、川柳は社会風刺や笑点の切り返しような機知に富んだ内容が多くなります。

そして短歌は、季語はあってもなくても成立します。つまり、短歌の俳句や川柳との違いは

①定型詩で唯一、五七五七七である。

②季語があってもなくても良い。

というわけです。ここから何が見えるというと、短歌は自由度が非常に高いということです。自然描写など視覚的な歌も短歌ですし、言葉のレトリックやメッセージ性の強い内容でも、短歌として成り立つのです。

 

それぞれの特質のおさらい

俳句:五・七・五。季語は必須。余韻の残る風景描写、花鳥風月の感性が求められることが多い。

【初心者向けの俳句メディア】テレビ番組「プレバト!」

 

川柳:五・七・五。季語は入れない。風刺や機知のような「座布団一枚!」と言った内容が多い。

【初心者向けの川柳メディア】サラリーマン川柳

 

短歌:五・七・五・七・七。季語はあってもなくてもいい。表現度の自由が高く七七の部分が肝。

【初心者向けの短歌メディア】雑誌「ダ・ヴィンチ」の穂村弘が選ぶ短歌投稿コーナー「短歌ください

 

短歌の入り口として「ダ・ヴィンチ」誌の「短歌ください」は読んでいて面白い!という初心者の方の声を多く聞きます。かなりポップで現代的な歌がほとんどですので、掲載作品は親しみやすいです。穂村弘の解説も作品の補足になるような的確な内容なので自分で作る前に読んでみるのもいいかもしれません。

 

2,短歌の基礎用語

 

①短歌は「一句」ではなく「一首」

短歌を詠んでいると言うと、よく「じゃあここで一句!」と言われますが、一句、二句、三句…と数えるのは俳句と川柳で、短歌は一首、二首、三首…と数えます。

 

②詠む(よむ)

短歌を作ることを「歌を詠む」と言います。「読む」ではなく「詠む」です。どちらもごんべんで紛らわしいですが、自分で作るのが「詠む」他人の歌を鑑賞するのが「読む」です。

 

③短歌結社

本格的に短歌を詠み、批評会をしたりと活動している会のことを短歌結社と言います。

 

④三十一文字(みそひともじ)

短歌は五七五七七なので三十一文字(さんじゅういちもじ)なのです。「みそひともじ」と読むことになっています。些細なことですが、前述の結社に入って「さんじゅういちもじ」と読むとよく突っ込まれることなので一応明記しておきます。

 

⑤歌会(「うたかい」もしくは「かかい」)

それぞれが詠んだ歌を持ち寄り、感想や意見を述べ合うのが歌会です。

最初は緊張するかもしれませんが、見学だけでもいいので歌会の雰囲気を味わってみると世界が広まりますよ。自分で自作や他の人の作品を読むのとは違った解釈に出会えますし、顔を突き合わせることは短歌鑑賞において意外に重要です。

今はコロナ禍ですが、リモート歌会も盛んに行われています。ぜひ、飛び込んでみてください!居心地のいい歌会は互いの思いやりによって少しずつ形成されていくので、ひとつ楽しかった歌会があればそれは貴重な出会いかもしれません。

 

⑥吟行(ぎんこう)

外に出向いて、景色や名所を楽しみながらそこで見たものや体験したことを歌にする催しです。普段インドアの人も短歌のために、と思って参加すると今までと違う歌が生まれるきっかけになりますよ!

筆者は過去に植物園で吟行をしましたが、風景描写が苦手なりに抽象的な歌とは異なる歌が詠めて、非常にいい勉強になりました。思い出にもなりますし、あと運動不足解消にも繋がります(笑)

このご時世では吟行は難しいかもしれませんが、出来る範囲で外に出てみると自然の豊かさを感じられますよ!

 

⑦詠草

歌や、俳句で言う俳諧を紙にしたためたもののことです。昔の和歌などでよくありますよね。

現代では主に、歌会用に集めた作品が並べられた当日用の資料のことを指します。無記名であることも多いです。意見や感想をそれぞれ歌のそばにメモしておくといいと思います。きちんと保存しておくと、これまでの活動を振り返ることができる(自分はなかなか出来ていませんが…)ので、おすすめします!

 

⑧初句〜結句、上の句・下の句

よく、「初句」や「結句」、「上の句」や「下の句」という言葉がありますが、厳密な定義って分からなかったりもすると思います。

そこで、簡単にまとめてみました。

初句:五七五七七の最初の「五」です。結句:五七五七七の最後の「七」です。上の句:五七五七七の前半の「五七五」です下の句:五七五七七の後半の「七七」です。

初句:
 五七五七七の最初の「五」です。
 初句は小説や映画の冒頭と一緒で、ここでスッと歌作りの導入が出来るといいですね。

結句:五七五七の最後の「七」です。
 結句も物語のラストと一緒で、綺麗に決まればいいのですが、あまりかっちり誰にでもわかる言葉でまとめてしまうと余韻が無くなってしまいます。難しいですね。でも最初は難しく考えすぎず詠むことをおススメします。

上の句:五七五七七の前半の「五七五」です

下の句:五七五七七の後半の「七七」です。

上の句と下の句の関係は一概には言えませんが、筆者のイメージでスポーツに喩えて書いてみます。

「上の句(五七五)で組み立てて、下の句(七七)で決める」 

バレーボールで言うなら上の句はレシーブとトス、下の句はアタックです。

サッカーに喩えるなら上の句でパスを回し、下の句でシュートを決めるイメージ。

 

それでも、最初が浮かばない、その際はどの部分から作ればいいのか、という質問もあると思います。上記の具体的な作り方のノウハウについては次回詳しく書きますね。

 

筆者が結社の先輩からいただいたアドバイスは

読み手にとって30%しか理解できない歌は良くないけれど100%分かる歌もあまり良くない。例えばだけれど70%伝わるのが理想だよ

でした。パーセンテージの数字は便宜的だと言っていましたが、それくらい曖昧でもいいのが短歌の特徴であり、歌を詠む際の特権でもあります。

 

最後に

短歌を始めたい!と思った時、興味を持った時に基礎知識があると間口が広がりますよね。これから短歌の世界を知っていきたい人へのまずは基礎知識でした。

 

次回は作り方の基本、その次に簡単な実践編を書きますので、お読みいただければ幸いです!

それではまた次回!

 

この記事を書いた人

小田切拓

92年生まれ。「かりん」所属。18歳の時、手に取った雑誌で短歌投稿コーナーを見つけ、歌を詠み始め楽しさを知る。友人が引くほどのサッカーオタク。第29回現代学生百人一首入選。第42回かりん賞受賞。第66・67・68回角川短歌賞予選通過。

Twitter:@rKGlC6f6HEUiU2r

note:https://note.com/takuan12/

自選短歌

落ち込んで「辛い」とぼやく僕の手を祖父が黙ってギュッと握った

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