投稿前におさらいしよう!階段歌壇投稿ルールと短歌の基本

コラム

2020年5月にスタートしたTANKANESSの投稿欄、階段歌壇。

ありがたいことに、はじめて短歌を投稿する方にもたくさんご応募いただいています。

今回は投稿前に確認していただきたい階段歌壇の投稿ルールと、これまで記事のなかで少しずつ紹介してきた短歌の基本をまとめました。

はじめて投稿する方や、まだ投稿に不慣れな方、短歌の基本を見直しておきたい方はぜひお読みください。

 

階段歌壇投稿ルールと短歌の基本

 

投稿欄について

投稿欄は、読者から短歌の投稿をしてもらい、その中から、いいなと思った短歌や気になった短歌を「選者」が選び、掲載するというシステムです。

「新聞歌壇」や、文芸系や読書案内系、公募系の雑誌に載っている「読者投稿欄」、テレビやラジオ、フリーペーパー、さまざまな場所に短歌の投稿欄はあります。

 

題詠、テーマ詠、自由詠

階段歌壇の募集要項は毎回少しずつ変わります。これまで、以下の形式の募集を行ってきました。

  • 題詠:短歌の中に必ずお題の漢字を入れる
  • テーマ詠:テーマに沿っていれば短歌の中にテーマの単語を入れなくてもかまわない
  • 自由詠:お題やテーマがない

題詠テーマ詠自由詠という言葉はいろいろな投稿欄や歌会などで目にすることがあると思うので、違いを把握しておきましょう。

*投稿欄によって微妙に上記ルールは異なることがあるので、投稿前には必ず要項をよくお読みください

 

階段歌壇投稿ルール

投稿欄によって、細かいルールは異なりますので、それぞれの応募要項に従ってください。

以下はあくまで「階段歌壇」の投稿ルールです。

 

階段歌壇は応募フォーム(Googleフォーム)に筆名、メールアドレス、短歌を記載のうえご応募いただきます。

<注意事項>

  • 未発表の自作の短歌に限ります。(掲載された短歌は既発表作品となります。)
  • 1人3首まででお願いします。(1つの応募フォームで3首まとめて応募が可能です)

 

*階段歌壇では未発表の短歌を受け付けていますが、投稿欄によって、既発表作品を受け付けている場合もあります。

 

備考欄の使い方

階段歌壇の応募フォームには、備考欄を用意しています。

備考欄は「ルビを入れたいとき」「一字空けなどの字空けをするとき」にその表記を明確にこちら側に伝えるために使ってください。歌の意味や解釈、その他の説明などは不要です。

 備考欄の使い方

  • 特殊なルビを伝える
    例:1首目の「(漢字を入れる)」のルビは「(ルビを入れる)」です
  • 通常の一字空け(全角スペース1つ分)以外のスペースの意図を伝える
    例:2首目のスペースは半角スペース1つです。
      3首目のスペースは全角スペース3つです 。
  • 歌の意図や解説などは備考欄に入れないでください。
  • ご挨拶を書いてくださる方などもいらっしゃいますが、匿名というシステムの公平性が失われてしまいますのでご遠慮願います。

 

*投稿欄によっては、短歌の背景やコメントを書いても良い場合があります。たとえば、雑誌『ダ・ヴィンチ』の投稿欄「短歌ください」(選者:穂村弘さん)では、フォームに歌の背景やコメントを書く欄が用意されています。

 

知っておきたい短歌の基本

短歌を投稿する前に短歌の基本をおさらいしておきましょう。

 

 

短歌は5・7・5・7・7

短歌は5・7・5・7・7(5・7・5じゃないよ!)のかたちを基本としたみじかい詩です。季語はいりません。

「5・7・5・7・5」と間違って認識されている方も多いようです。このリズムでも口に出したときのおさまりはたしかによいのですが、短歌の定型は「5・7・5・7・7」です。そのため、「5・7・5・7・5」は字足らずになります。字足らずはけっこう高度な技で、逆の字余りほど気軽に使える技ではないというのが個人的な印象です。

既存のいろいろな短歌をまずは読んでみて、短歌のリズムや言葉の流れる感覚を育てることから始めてみてください。

 

理由がなければスペースをあけない

短歌を表記する際、句(短歌を5つに分けたときのかたまりのこと。最初の5を初句、次の7を二句、その次を三句……という。)の間を一字空け(スペース)などで区切ったりする必要はありません。

時々投稿作の中に、句ごとに全部1マス間をあけてあるものがありますが、1マスあける必要は全くありません。続けて書いて大丈夫です。

短歌での「1マスあける」行為は、ひとつの技法です。

文脈を途切れさせたいとき、あけないでおくと表記の関係で意味がとおりにくくなってしまうときなどなど、あける理由は様々ですが、あける必要がある、と確信したときにだけあけるようにしてください。

 

助詞の抜き過ぎに注意

短歌の定型(5・7・5・7・7)を意識しすぎるあまり、助詞を抜きまっているという歌もときどき見かけます。

階段歌壇にご投稿くださる多くの作品が口語短歌なのですが、口語のなめらかさには、助詞が意外と重要だったりします。

助詞を抜くよりも、字余りさせたほうがうまくいく場合もありますので、作る際にはじっくり検討してみましょう。

破調(5・7・5・7・7の定型を逸脱した調べのこと)の投稿歌も多くみられます。韻律がなんとなくだらしなかったり、意味もなくガクガクだったり、句またがりが不自然だったりする歌は目にとまりにくいです。
逆にそういった点を気づかうと、歌がぐっとよくなる可能性があります。

 

さらなるレベルアップのために

歌をせっかく読むのだから、わたしは「びっくり」したい、と思っています。

「こんな気づきがあってびっくり」とか、「こんな当たり前のことを歌にするなんてびっくり」とか、「こんな奇想天外な行為を歌のなかで行っていてびっくり」とか、いろいろあるのですが、「びっくり」は歌の良さにつながる鍵になったりすることがあります。けれど、「びっくり」の度がはずれてしまうと、こんどは地に足がつかなくなってしまって、歌をどう楽しめばいいのかわからなくなって困ってしまいます。

言葉には説得力が必要です。
なぜこの言葉がここに必要なのか、勢いだけでぽんと言葉を放り込んでしまっていないか、再検討する必要があります。歌が、自分しか面白くないものにできあがっていないか。

それを見極めることは、本当に難しく至難の業なのですが、たとえば作った歌はすぐ投稿せず、しばらく時間を置いて、ふたたび眺めてみるとか、繰り返し改作してみるとか、そういったことで歌がよくなることは結構あります。名作ができた!と喜んでいたのに、一夜明けてみると「なんじゃこりゃ……」という出来に見えた、なんてことはわたしにもよくあります。

読者を意識する(意識しすぎるとそれはそれでつまらなくなって行き詰まったりもするのですが)前に、自分が自分の歌の本当のよい読者になれているか、問いかけることは大切なのではないかと思います。

 

最後に

短歌のセンスを磨くのはとても難しいのですが、多くはたくさん歌を作り続けていったり、いろいろな歌を読み続けることで徐々に身に着いたりすることがあります。

とはいえ、選(もちろん評も)というのは「ただひとつの答え」ではありません。

当たり前ですが選者の好みや解釈が反映されますし、取り上げることのできる歌数というのは限られてきます。投稿してみたけどだめだった!という方も、めげずにまた楽しみながら、階段歌壇を含むいろいろな投稿欄に応募していただけるとうれしいです。

 

階段歌壇ではこれからも皆さまの投稿をお待ちしております。

そこのあなた、あなたの短歌をわたしに読ませていただけませんか?

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