短歌のスランプになったらどうしてる?!私は韻を踏む

コラム

TANKANESSライターのなべとびすこです。短歌をはじめてもう7年くらい経ちました。

このくらい短歌を続けてると何度も「アレ」にぶち当たってきました…

アレとは…

スランプ

そうスランプです。

今回は「どっきりどっきりDON!!DON!!短歌のスランプになったらどーしよ?(どーする?)」というテーマでお送りします。

もしかしたら、「まだスランプになったことないよ〜!」という方もいるかもしれません。
そんな方も、いつか来るかもしれないスランプに備えておけば万全。来なければ来ないでラッキーです。

私が短歌のスランプになったときに実践していること5つお伝えします。もしスランプになったときは試してみてください。

私の意見だけだと不安なので、周りの歌人の方にもアンケートを取りました! 私への信頼度が低い方はぜひ後半だけでもご覧ください。

 

短歌のスランプになったらどうする?!

短歌スランプ脱出法① 基本的にはほっとく

身も蓋もないですが、スランプになっても、一旦ほっときましょう。

スランプと思っているものが、メンタルや身体の不調、寝不足、単にめちゃくちゃ忙しくて時間的な余裕がないだけ…というときもあるからです。

そういうときはまずちゃんと休むのが先決!

短歌から離れて音楽を聴いたり映画を観たり、好きなことをしましょう。

とはいえ、スランプと締切がかさなり、早々に短歌を作らなければならないことありますよね。
ここからが締切前に使えるテクニックです。

短歌スランプ脱出法②初心にかえる

 

初心にかえる」。具体的にはこういうことをします。

  • 短歌の入門書を読む
  • 初心者向け短歌ワークショップに行く

まずは「短歌の入門書を読む」です。

皆さんは短歌の入門書って読んでますか?

短歌をはじめてすぐの頃は入門書を読んでいたのに、ある程度短歌を続けていると今さら入門書は読まなくなったという方もいるかもしれませんね。しかし、入門書はある程度続けてから読むと新たな発見がたくさんあって楽しいんです!

入門書を読んだことがない方はこの機会に一度読んでみてください。

「歌会(※短歌を発表してコメントしあう場)でよく聞くアドバイス、こういう意味か!」と思うことが多々あります。アドバイス自体はよく聞く内容でも、書籍のなかで明確な理由が書かれていてようやく納得!に行きつくのです。

また、昔読んでいた入門書を読み返すと、「あのときは何言ってるのか全然わからなかったけどこういうことか!」と思うこともあるはずです。そういうときは「自分ってちゃんと成長できてたんだな…」と思える良い機会にもなります。スランプによりネガティブになっているときにこういった小さな自信が支えになることもあります。

また、入門書には初心者向けのワークが用意されているものもあります。こういうワークは読み飛ばさずにはじめての気持ちでぜひ取り組んでみてください。自分にあった手法が見つかればラッキーです。

★おすすめ書籍

『天才による凡人のための短歌教室』木下龍也(ナナロク社)

 

・初心者向け短歌ワークショップに行く

現在はコロナ禍で対面のワークショップはあまり開催されていないかもしれません。今後開催されているのを見つけたらぜひ行ってみてください。最近はオンラインでワークショップが開催されることもあります。

私もコロナ禍になる前は大阪で開催されていた「もしも短歌がつくれたら」(※2021年6月現在は休止中)というワークショップによく行ってました。

※過去にTANKANESSでもレポート記事を掲載したワークショップです。

  高下龍司さんの「もしも短歌がつくれたら」レポート

Cooley Geeさんの「もしも短歌がつくれたら」レポート

ワークショップに参加することで、いつもとは違う短歌の作り方を体験できるかもしれません。作り方を変えると新しい短歌ができることもあるでしょう。

ワークショップで学んだ内容は家でひとりでも実践してみましょう!

 

短歌スランプ脱出法③脳を短歌のモードにする

「なんとなく短歌ができないな〜」と思うとき、単純に「短歌のモード」になっていないこともあるかもしれません。

脳を短歌のモードにする、と言っても何をするかわかりにくいですよね。具体的には、

歌集を読む(頭を57577のリズムにする)

これです。

「そういえば最近歌集読んでないな…」または、「歌集って読んだことないかも」という方はぜひ歌集を読んでください。

歌集には短歌がたくさん載っています。短歌を読み続けると脳が57577のリズムになってきます。リズムを掴むだけで短歌が詠めることもあります。

私はHIP HOPを聴きすぎると脳がHIP HOPのモードになり字余りを多発させる癖があります。字余り増えてきたな…と思ったら歌集を読んで短歌のモードに戻しています。

 

まだ好きな歌人が見つかっていない方は、いろんな歌人の短歌が載っているオムニバスのような本がおすすめです。好きな歌人を見つけたら、その歌人の歌集を読んでみまましょう。

★おすすめ書籍(いろんな歌人の短歌が載っている本)

『短歌ください』穂村弘 編(角川文庫)

『桜前線開花宣言』山田航 編(左右社)

 

スランプ脱出法④文章を書く

短歌を作ろうとするのではなく、とりあえず「文章を書く」のがおすすめです。ちょうどいいテーマやモチーフを見つけたいときに使える手です。

これは上記で触れた牛隆佑さんの「もしも短歌がつくれたら」というワークショップで実践している内容を深掘りしただけです。

テーマを2つか3つ決めて、そこから思いつく文章をとりあえず書きます。何も考えず、ひたすら手を止めず書きまくるのがおすすめです。スマホではなく紙に書く方が考えが広がります。

テーマは適当に決めてください。私は適当に再生した曲の歌詞に出てきた単語や、本をひらいて見つけた単語を組み合わせて作ることが多いです。

テーマとなる単語は距離が遠いものを選びましょう。

たとえば、単語が「」と「」だと、イメージが近いため文章の内容も広がらず、漠然とした話になってしまいます。マジカルバナナですぐ隣に出るような単語は距離が近いです。最低2つくらい離れた単語にしましょう。

例:バナナと言ったら黄色黄色と言ったら信号信号と言ったら交通
 →「バナナ」
「交通」をお題にする。

また、選ぶ単語は具体性があるもののほうが、頭の中にシーンが浮かびやすいです。
「空」ではなく「くもり空」、「星」よりも「オリオン座」のほうが書きやすいのではないでしょうか。具体的なモノのほうが情景やシーンが自然と限定されるため、脳内でイメージが作りやすいからです。

具体的なモノを起点に、忘れていた思い出が引っ張り出されたり、曖昧だった自分の考えが言語化されます。これが短歌の種になります。短歌にしたいモチーフが見つかれば、そこから短歌を作る流れに持っていけます。

文章のなかから気に入ったフレーズを見つけ、音の数を数えましょう。前後の言葉を並び替えて、足りない言葉を補いながら短歌を完成させます。

 

スランプ脱出⑤韻を踏む

③文章を書く は詠みたいテーマや短歌に入れたいモチーフを見つけやすい手法でした。
こちらは「なんかいいな」というフレーズを探すための手法です。短歌を作るとき、詠みたいテーマや書きたいモチーフから作ることもあれば、気に入ったフレーズから広げる方も多いかもしれません。「韻を踏む」とそのフレーズを無理やり作り出せるのです。

また、「なんか途中まではできたけど完成しね〜」のとき、「とりあえず出来上がったけど微妙〜!」のときに、ブラッシュアップのために試して欲しいです。

短歌のなかでテクニックとして韻を踏むこともありますが、これはあくまでアイデア出しとして行います。

ここでの「韻」はいわゆる押韻母音を合わせるものです。

たとえば「会場」という言葉なら、母音は「あいおう(AIOU)」。
「会場」と同じ母音の言葉は「最高」「愛情」「来航」「開国」「改行」…などたくさんあります。

もっと言えば、「ん」「っ」「ー」は母音に含まないので、「かりんとう」「社員証」なども母音は「あいおう(AIOU)」です。

※韻については本筋ではないのでこのくらいにしますが、興味があればKREVAさんが香取慎吾さんに韻のことを教えているYouTubeや、韻についての書籍を読んでみてください。

★韻の参考書籍 『声に出して踏みたい韻』細川貴英

 

実際に、私が韻を踏んでから作った短歌は以下です。

常温の毛布と体温分けあって一人っきりで春を身籠る/なべとびすこ

短歌だけ見ると、特に韻を踏んでいるようには見えません。

これはもともと「春を彩る」という言葉から韻を踏んで結句(57577の最後の7)のフレーズ「春を身籠る」を完成させたものです。

「春を彩る」は桜のシーズンでよく使われる言い回しです。それをそのまま使うとよくある表現で終わってしまいます。だから、部分的に韻を踏んでみました。

春を彩るの「彩る」の母音はIOOU。これをベースに韻を踏んで発想を広げます。

春を紐解く
春の日も遠く
春の日のコープ
春の実を置く
春の胃の奥
春を見落とす
春と火と僕
春を見殺す
春を身籠る

これで、「春を身籠る」ってなんかいいな!と、自分のなかで気に入ったフレーズができました。

「春を身籠る」=あたたかいものを生む イメージが広がり、そこから逆算して完成させました。
フレーズから広がりそうな予感がしたら、③に戻って文章を書き、そこから組み立てても良いです。

ただ母音が同じという共通点をもとに、自分の外側にある言葉の組み合わせを見つけられるのがこの手法の面白いところだと思います。

また、元の言葉に馴染みがある=元の言葉の語感が良い ということなので、その言葉と韻を踏むと良い語感のフレーズになりやすいです。

スランプに陥ったとき、どうしても視野が狭くなってしまうので、ゲーム感覚で韻を踏むことでリフレッシュにもなります。

 

以上、私からは 
①基本的にはほっとく(休む・遊ぶ) 
②初心にかえる(短歌の入門書を読む、初心者向けワークショップに行く) 
③脳を短歌のモードにする(歌集や短歌のオムニバスを読む) 
④文章を書く(詠みたいテーマやモチーフを探す) 
⑤韻を踏む(気に入ったフレーズを見つける)
5つの方法をご紹介しました。

また、短歌を詠んでいる皆さんがどうやってスランプを抜け出しているのかも聞いてみました。

みんなは短歌のスランプになったらどうしてる?!

 

気分転換系

しばらく短歌を詠むのをやめて好き勝手に過ごします。短歌を詠みたくなってきたら再開します。(宇野なずきさん)

これは短歌も文章にも言えることなのですが、出てこない時は、音楽を聴きながら散歩しますね…!(武田ひかさん)

わたしは家のトランポリンで飛び跳ねたり、家の周辺をぐるぐる回ったりしてますね〜(白川麒子さん)

 やっぱり気分転換は大切ですね! 外に出ると新しい素材の発見もありそうです。

 

脳を短歌モードにする

私は好きな歌集を手書きで書き写します。すると短歌のリズムが体に戻ってきてまた詠め……ることもあります。(篠田くらげさん)

歌集を読むだけでなく手書きで写すとよりリズムが自分のなかに戻ってきそうですね。

 

新作ではなく推敲の時間として使う

スランプというか「脳が短歌モードになっていないな」と感じるときは新作を作るのではなく、過去作やボツ作を推敲する時間を多く取るようにしています。そのうちボンヤリとチューニングが合ってきて新作ができるようになったりします。(ひげっちさん)

これは納得!たしかにイチから新作を作らなくても作りかけのものを完成させても新作になりますね。

 

インプット→気分転換

わたしはスランプ時、短歌を読んでインプットに時間をかけます。それでもだめなら、だんだん短歌から離れていくように行動しています。

川柳読む→俳句読む→現代詩読む→小説読む→歌詞有り音楽をきく→カラオケ行く→絵を描く→踊る→ラジオアプリで喋る→ゲームする みたいな感じで! (橋爪志保さん)

スランプ時にはインプットも大事な要素ですね。徐々に短歌から離れていくのも良さそうです。

 

短歌に対する姿勢を変える

意外と「無理して詠まない」というのは大事かもしれません。スランプのときに無理やり作っても納得できないので、ストレスになってしまいます。詠みたいと思ったり詠めそうな題材というのは偶然見つかったりするので、気長に待つのがいいのかなと思います。

締切などでスランプと向き合う必要があるときは、力を抜いて歌うといいと思います。気合を入れて、力を抜くのはストレッチみたいで加減が難しいんですけど。(貝澤駿一さん)

メンタル的なアプローチも必要ですね。スランプで煮詰まると視野が狭くなるので一旦は完成度を気にせず楽に詠むのは良さそうです。

 

ストイックに向き合う

どんなに詠めなくても机に向かって、気合いと集中力で31文字ひねり出します。それもダメなら寝ます。もしくは、近場の気に入っているイタリアンに行って、おいしいものを食べますね。(田中翠香さん)

ストイック!近場の気に入ってるイタリアンで天使の絵を見たりドリンクバーを混ぜたりしましょう。

 

以上です。

今後、短歌のスランプにぶち当たったときはぜひ試してください!

スランプを乗り越えて次のステージにいきましょう。

 

では、スランプに負けず楽しい短歌生活をおくりましょう!

 

この記事を書いた人

なべとびすこ(鍋ラボ)

TANKANESS編集長。短歌のワークショップをやったりボードゲームを作ったりしています。短歌カードゲーム「ミソヒトサジ<定食>」「57577(ゴーシチゴーシチシチ)」制作者。

Twitter @nabelab00

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