M-1グランプリ2020で好きすぎた芸人さんの漫才を短歌にした

企画

電気とデニムと申します。
縁あってTANKANESSで書かせていただくことになりました。
といっても短歌については全くの素人です。

あっ!小学生のとき地域の百人一首大会で3連覇したことあります(おばあちゃんが鬼軍曹くらい厳しいコーチでした、またやりたいなぁ)。
当時は速く札を取ることに全身全霊を注いでおり、歌の内容や情景は全く気にしておらず。

せみまるって名前おもろいな!家で飼ってるカブトムシの名前にしよう!とか…
菅家(菅原道真だったのですね)が詠んだ「紅葉の錦神のまにまに」※の札を取るたび、ABBA のMoney Money Money(いきなり黄金伝説の「1ヶ月1万円節約生活」で使われていた曲)を熱唱したり…

恥が多く、それでいて短歌とあまり接点のない人生を送ってきました。
今回の記事ではまるっきりの初心者が短歌を詠むまでの葛藤も含めて楽しんでもらえたら嬉しいです。

電気とデニム

常識という国道で短歌を詠みながら非常識というダートを目指す。
無駄とくだらないが好物。無駄なことをする時間を捻出するために、時短家電をたくさん買いたい。

Twitter @denkitodenimu

自選短歌

ラグビー部知らない人の思い出がなんでこんなに懐かしいのか

 

何を詠む…?

今回、短歌を初めて作るにあたり、浮かんだ疑問。
そもそも短歌ってどういう時に詠むものなのか…?

漠然としたイメージだけど、嬉しいとか悔しいとか大きく感情が動いた時なのかなと。
僕が感情を大きく揺さぶられ夢中になれるもの…間違いなくM-1グランプリだ。
4分間のために日々全力を注ぎ、1本のマイクの前で自分の信じる「おもしろい」を表現する。カッコ良すぎません!?

そうか、漫才に対してなら詠めるかも。
ということで今回は激熱だったM-1グランプリ2020の中で僕がみなさんに見てほしい芸人さん5組の漫才を紹介し、その魅力と漫才を見て浮かんだ短歌を発表していきたいと思います。
漫才はM-1グランプリ2020の準々決勝から選んでいきます。
準々決勝…?準決勝にも残っていない芸人の漫才って面白いの?と思ったそこのアナタは下の図を見ていただきたい。
準々決勝がいかに凄いか

この図はM-1グランプリ2020の各ステージでの通過者数(1回戦のみエントリー数)だ。5081組の漫才師の中から準々決勝まで進める漫才師は90組。パーセンテージでいうとたったの2%。準々決勝まで勝ち抜く人は選ばれし面白い人達なのだ(そう思うと決勝に出る芸人さん達は皆お笑いモンスターなのです。)

準々決勝のネタから選ぶ理由はもうひとつ。
世の中にはまだまだたくさんの面白い芸人さんがいることを知ってもらいたいから。
決勝や敗者復活戦はテレビ放映があるため、少なくとも準決勝まで進出すればテレビでネタを披露することが出来る。
しかし、準々決勝は各予選会場でしか見ることが出来ないため、日の目を見ずひっそりと敗れていく芸人さん達が多くいるのだ。

も…もた…もたいまさ…もったいない!(途中、もたいまさこと言いかけましたが何とか持ち直しました)
こんな面白い人達が世の中で知られていないなんてもったいない。

誰かが声を上げるべきだ…誰も上げないのであれば僕がお笑い界のマザーテレサとなり、準々決勝で敗退した芸人さん達の漫才を世の中に広めていきたい。

そこで今回の短歌は以下の構成で楽しんでいただければ幸いです。

  1. 各漫才師の公式動画
  2. ネタの魅力解説
  3. ネタを見て浮かんだ短歌のイメージ
  4. 僕が詠んだ短歌

では、さっそく5組のネタを見ていただきましょう。
ヒズ!カンカンカン!カンカンカン!カンカンカーーン!(M-1の出囃子)。

漫才紹介

漫才師No.1 ラフ次元

 


魅力解説

見終わった後にこんなに面白くてスッキリする漫才ってあります?
最初は小さな違和感だったのが、だんだんひとつひとつの違和感の正体が分かってくる。
最後は怒涛の答え合わせ!ラフ次元さんが凄いのは違和感が繋がったとき。
「なるほどねー」や「おぉ上手な漫才だ」という感想ではなく全てを笑いで回収していくところ。
伊坂幸太郎の小説かのごとく全ての伏線を繋げていく何度も見たくなる漫才です。

ネタを見て浮かんだ短歌のイメージ
このネタでは気持ちいいくらいに次々伏線が回収されていくけど、現実世界ではそうそうない。
ひとつひとつの事実がゆっくり繋がっていく。ウワサに右往左往する人がプライベートで踊ってたらなるほどねと納得するだろうなと思い、詠みました。
ちなみに僕はあんまり職場のウワサ話が好きじゃない。人の意見からの偏見フィルターじゃなく自分が接してみてどうなのかを大切にしたいなぁ。

短歌

フラメンコやってたんだねなるほどね社内のうわさに踊らされすぎ

 

漫才師No.2 真空ジェシカ


魅力解説

僕は設定でお客さんを置き去りにしてネタの面白さでグイグイ引き戻す系の漫才が好きです。
グラデーション転校生って発想の時点で面白すぎる。黒板に文字を書くボケで色んな角度から色んな種類のボケを放つ凄さ。「フォームは完全に井口」・「内村光良の対を為すもの」等、ボケだけでなくツッコミでも笑いが取れるんだよな~。

ネタを見て浮かんだ短歌のイメージ
隣町の高校の先生モノマネって普通に考えたら面白くない。モノマネ=共感の笑いなのに、その共感対象者を知らないからだ。でもモノマネをする当人があまりにも楽しそうにモノマネしていたら共感出来ないのに面白くなってしまうのではないか。僕の大好きなラジオくりぃむしちゅーのオールナイトニッポン「済々黌高校ラグビー部祭り」がまさにその現象なのだ。内容は有田と上田が所属していた高校でのラグビー部での話を好き勝手語るだけ。監督や顧問、部のメンバーなんて誰ひとり知らないのにまるで一緒に3年間汗水流したような親近感が聴いた後に出てくる。知らない人の思い出で涙流すくらい笑える不思議な経験だったな。

短歌

ラグビー部知らない人の思い出がなんでこんなに懐かしいのか

 

漫才師No.3 Dr.ハインリッヒ

 

魅力解説
同じ形式でボケ続けるかつ、そのボケに法則などなくただただ自分自身が面白いと思っているものを淡々と出し続ける超ストロングスタイル。そして良い意味でDr.ハインリッヒのネタって説明がない。なんでチーマーの後輩なのか、なんでずっと髪かきあげているのか…このモヤモヤが癖になる。

ネタを見て浮かんだ短歌のイメージ
こんな不思議なボケを考えるハインリッヒの2人の頭の中を覗いてみたいと思う。日常生活でも自分の常識にない行動を友達がしていると何で?という思いと同時に少し羨ましい。僕が絡め取られてる常識という網の外に君は飄々と立っているんだねと。

僕が強烈に頭を覗いてみたいと思ったのは一昨年に友だちとマラソン大会に出た時だ。僕の家で1泊し、会場に向かう予定だったが、彼はゼッケンを着けたTシャツで山手線に乗り僕の家へやって来た。ゼッケン着けるの明日で良くない?

短歌

ゼッケンをつけたまま乗る山手線頭の中を覗いてみたいよ

 

漫才師No.4 シンクロニシティ

 

魅力解説
吉岡さんのボケが昔から好きなんです(前のコンビ晴天サンティ時代から)。
「温泉が好きだから温泉のタトゥーを入れたい」「温泉入れなくなりますよ!」この矛盾を突くようなボケ…たまらない。吉岡さんは暗くネガティブに見られがちだけど、実はそこには面白いがたくさん詰まっている。

ネタを見て浮かんだ短歌のイメージ
笑いって繊細なものだと思う。集団が大きくなればなるほど声が大きい人が放った分かりやすい笑いが正解にされがち。でも、そうじゃない笑いもあるんだよ。ダウンタウンの松本さんが「野球のホームランは誰が見てもホームランだが、笑いのホームランは気付かれないことが多い」と言っていたが、まさに…!
みんなの正解ではない小さな笑いを見つけたい。自分への戒めの短歌です。笑

短歌

合コンで飛んだり跳ねたり笑いとる声が大きいだけと気付いて

 

漫才師No.5 ストレッチーズ

魅力解説
言葉遊び系のネタが大好物です。知らんゲームの知らん技がちゃんとした攻略法になっているのも憎い。同様にストレッチーズが2回戦で披露した「水かけ論」の動画も見ていただきたい。

2020のM-1グランプリ面白いネタは数あれどNo.1を決めるなら僕はこのネタを推したい。

ネタを見て浮かんだ短歌のイメージ
知らんゲーム考えて遊ぶの好きなんです。屋久島に友人と1週間ほど旅した時、ほぼ全ての日の夕飯を定食屋「あいこ亭」で食べた。屋久島っぽい料理も普通の定食もあって美味しかった。僕らはあいこ亭が流行るには斬新な広告が必要だと考え、勝手にあいこ亭をモチーフにしたキャッチコピーを作っては笑っていた。
お気に入りは「じゃんけんで あいこになったらあいこ亭 勝っても負けてもウフフフフ」だ。
謎に短歌になっていてビックリ。この件で久々にあいこ亭を検索すると閉業しており、更にビックリ。美味しかったです、ご馳走様でした!

短歌

あいこ亭支えてくれた屋久島のコピー考え笑い合う日々

 

初めて短歌を詠んでみて

率直な感想は思ったより悩まずに出来たなと。日々自分が面白いと感じたこと、不安に思っていることを漫才を見た感想に繋げるイメージで作ってみた。

漫才のツッコミに近いのかも。
僕の中でボケはまっさらなスケッチブックを何でも好きなもの書いていいよと渡されるイメージ。
ツッコミは描かれたものに対して頭の中の引き出しを片っぱしから開けて最適解を探す…
ドラえもんが四次元ポケットから必要なひみつ道具を探す時みたいに「なんかないか」と頭の中から言葉を出していくイメージ…。

だからこそ頭の中の引き出しにどんどんモノを入れていかなきゃ。
人生の寄り道を、無駄なことをたくさんしていこうと思った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

いかがだったでしょうか?
あくまで今回の5組は僕の独断と偏見により選ばせていただきました。準々決勝にはそりゃあもう魑魅魍魎の面白芸人さん達がたくさんいます。
ぜひ皆さんも2021年はM-1グランプリを予選から会場に見に行きお笑いを詠んでもらえたら嬉しいです(僕自身も漫才師として舞台に立ちたい…!)。

次に漫才で短歌を作るのは、
漫才師のみなさんと、客席のみなさん、そして、TANKANESS読者の、あなた達です!!!
爆笑オンエアバトル風でした~。では。

 

 

この記事を書いた人

電気とデニム

常識という国道で短歌を詠みながら非常識というダートを目指す。
無駄とくだらないが好物。無駄なことをする時間を捻出するために、時短家電をたくさん買いたい。

Twitter @denkitodenimu

自選短歌

ラグビー部知らない人の思い出がなんでこんなに懐かしいのか

タイトルとURLをコピーしました