この記事は「短歌の自由研究」シリーズの第1回としてお送りします。
こんにちは。のにしです。
以前に『歌集に出てくるごはんしか食べられない! 1週間歌集ごはん生活』という記事をこちらで書かせていただきました。
相も変わらず、ゆるめの短歌ライフを送っています。
ルイージ店長さんの「1ヶ月で溜まったいらない紙を短歌コラージュにして供養する」の記事にインスピレーションを受けて、私も何かコラージュで短歌を作ってみたいと思いました。
「なんか楽しそうだし、きっといい記事になるわ~」
しかし、この思い付きが様々な困難を生み出すことになろうとはこの時は思いもしなかったのです…
この記事は挫折と復活の記録です。
自ら作った壁にぶつかり、膝を着き、這い上がるのにしの姿をご覧ください。
それではスタートです。
準備
コラージュを作るには何かしらの素材が必要です。ルイージ店長の記事では1ヶ月で溜まったいらない紙でした。同じことをするより、別の角度から攻めたいと考えました。
1ヶ月で溜まるもの…
さっそく壁が立ちはだかります。
新聞も取っていないのと、外出自粛中の5月。何か1ヶ月溜められて、何か単語の載っている紙媒体もの…
部屋の中を見渡します。
目に留まったのがレトルトカレーのパッケージでした。
「これにしよう。カレーよく食べるし。いい着眼点だわぁ」
1ヶ月の内に食べたレトルトカレーの箱に載っているワードで短歌を作ってみよう! に方向性が決まりました。
私はここで自ら大きな壁を建造してしまいました。
悪いことに、全く壁だとは気付いていません。方向性が決まってウキウキしています。
挑戦
1ヶ月中に食べたレトルトカレーの箱を集めます。12箱でした。意外と少ない…
ダブっているものを省いたので数が減ってしまいました。
その中から文字数の多そうなものを選びます。
まず1箱目。
『噂の名店 珊瑚礁 湘南ドライカレー』 エスビー食品株式会社
珊瑚礁求めて長い行列は知らなきゃ損するレトルトパウチ/のにし
有名店のメニューをレトルトにした商品はパッケージの裏面に店の紹介やこだわりが載っていて読ませる箇所が多いイメージです。
2箱目。
『ボンカレーゴールド辛口』 大塚食品株式会社
長時間りんごを含む業務用鍋にはフタをしないでください/のにし
企業のレトルトカレーは作り方や成分表示がやや大きめに記載されていて、イラストも多く、大事なことを分かりやすく伝えることに重きを置いている印象です。
3箱目。
『神戸テイスト 6種野菜のカレー』 エム・シーシー食品株式会社
約2分ちょっとの工夫で誕生し味の感動オイシクニッコリ/のにし
オイシクニッコリとは問い合わせ先の電話番号「014925」の語呂合わせ。
パッケージを意識して読まないと気付かなかった部分だと思ったので、せっかくだから採用。
脱線しますが、このエム・シーシー食品のロゴ、シェフと思われるおじ様3人がこちらに笑いかけていて、パッケージの写真を取る時思わず「はいチーズ」と言ってしまったほどでした。
しかし、三首作ってみたところで気づいたことが。
ただただ、商品説明しているだけになっている…!
または、文字列をくっつけただけになっている…!
なんか、キャッチフレーズみたいになっている…!
挫折
企画した時のイメージでは、この限られたパッケージという枠の中にある言葉だけで全く違う情景を作ってみようというものでした。
パッケージを何度も観察して分かったのは、無駄なことは一切除かれているということ。それもそのはず、必要な情報だけを厳選して載せているのだから。
企画倒れ…
編集長にこのことを伝えると、失敗の記録もありなので一度検討して欲しい、とのことでした。
失敗の記録を残す。しかし、上手くいきませんでした!おわり! のような打ち切りみたいな終わりにしたくない…
このままではいけない。
よし改変しよう!
復活
でもただ改変するだけじゃ面白くない。
サイコロを使います。
1か6の目が出たら一句を改変。2の目は二句を、3の目は三句を…という感じで改変する句を決めようと思います。
一首に対して2箇所改変しようと思います。
一首目。(6の目・2の目)
↓
火星から地球へ延びる行列は知らなきゃ損するレトルトパウチ/のにし
ガラッと雰囲気が変わりました。お気に入りの改変です。
二首目。(4の目・3の目)
↓
長時間りんごを含むフルーツを見せるだけにしないでください/のにし
この改変が精一杯でした。「りんごを含む」というワードが強すぎました。
三首目。(4の目・6の目)
↓
古のちょっとの工夫で誕生しふっくら白米オイシクニッコリ/のにし
オイシクニッコリがある以上食べ物から離れられず、白米を炊いた初めての人類に想いを馳せてみました。
結論
パッケージに載っている文字列から短歌を作り出すのは相当大変だということが分かりました。わたし個人が短歌に必要だと思っている、風景や感情に繋がるワードがほとんどないからです。(香り際立つ、のようなカレーを思い浮かべるワードはあるけれど)
今まで目で見たことや体験したことを元に短歌を作っていたので、今回の企画は言葉だけを選んで作る言葉遊びのようで新鮮でした。
自分の短歌の作り方にメスが入った、そんな気分です。
これはわたしの個人的な感想なので、他の方がやってみたら傑作が生まれるかも…?
よかったら捨てる前のパッケージでコラージュしてみてください!
それでは!
この記事を書いた人
のにし
気の向くままに歌会やイベントに出没しています。趣味は古本屋巡り。詰まった本棚を見ると、ときめきます。
Twitter @no_nonishi
自選短歌
心には大きな鳥が飛んでいて横切るたびに木々がざわめく