歌会でも使える! オンラインでのアイスブレイクアイデア

コラム
歌会でも使えるオンラインでのアイスブレイク

みなさん、こんにちは。

この文章では、オンライン歌会はもちろん、それ以外のオンラインの集まりで使える「アイスブレイク」を紹介します。

中本速

詩人。詩集『照らす』(大隅書店)がある。
ここ数年は短歌に興味を持ち、歌会の主催も積極的に行っている。
現代語で書き、五七五七七のリズムはわりと律儀に守る。

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ただ一度生まれただけで誕生日ことしもやってきてくれるのか

 

歌会でも使える! オンラインでのアイスブレイク

そもそも、アイスブレイクとは何か

アイスブレイクは、会議や初対面の人の集まりで、緊張をほぐす手法です。

参加者からたくさんの意見を聞きたい時に、効果を発揮します。

 

  • 緊張がうすまる
  • メンバー間の理解が深まる
  • 話しやすくなる

などの意味がありますが、オンラインではもうひとつ特別な意味合いがあります。

それは、システムの動作確認

 

オンラインでのアイスブレイクでの重要な意味合い。それは、参加者のシステムの動作確認です。
もし、動作確認をせずに会議を進めてしまったら、どんなことが起こるでしょうか。

順調に進んでいた会議の途中で、突然こんな声が飛び込んできます。

「すみません、会議システムの設定を間違えていて、いままで喋っていたのがそちらに聞こえていなかったようです」

そういえば、この人だけずっと発言していなかった……。

話し合いは振り出しに戻ってしまいます

 

顔が見えているタイプの会議システムであっても、音声が入力できているかどうかは、最終的には話してもらわないとわかりません。

したがって、この記事では、全参加者がひとりずつ話してもらうタイプのアイスブレイクを紹介しています。

オンラインで可能なアイスブレイクは、意外と少ない

アイスブレイクは従来から、緊張をほどいたり、メンバー間の理解を深めたりするために行われてきました。

ところが、実はアイスブレイクには、オンラインで出来るものが意外と少ないのです。

それはなぜでしょうか。

緊張を解くためには、体を動かすことが有効です。

そこで、アイスブレイクは「運動」の要素を含みがちでした。たとえば、合図に応じて拍手をしたり止めたりするゲームが、アイスブレイクとして取り入れられています。

しかし、互いの様子が一望できず、機器を装着した人が多いオンライン環境では、これらのアイスブレイクはやりにくくなっています。

また、アイスブレイクには相互理解の側面があるため、触れ合いや共同作業を重視するものがありました。たとえば、紙でどれだけ高いタワーを作れるか、相談しながら作業するというものがあります。

おわかりのように、こういうアイスブレイクはオンライン環境では行なえません。

この記事は、オンラインでも行えるアイスブレイクに特化して紹介します。

 

歌会でアイスブレイクが重要なのはなぜか

この文章は、TANKANESSという、短歌のメディアの記事です。

研修など、さまざまな場面で使えるアイスブレイクを紹介しますが、ひとつの標準的な環境として、「オンライン歌会」を想定しています。

歌会というのは、短歌を趣味とする人々が、たがいに自作の短歌を持ち寄って行う批評会です。提出された短歌一首ずつに、みんなでコメントをします。

(この機会に、歌会について知りたいという方はこちらをお読みください↓

歌会について簡単まとめ(中本速・note)

 

さて、短歌の批評会という趣味的な集まりで、どうしてアイスブレイクが必要なのでしょうか。

まず、短歌の批評会の参加者は、特に初心者だったり知り合いが少なかったりすると、大いに緊張しています。

ただ意見を言うこと自体緊張するものですが、歌会の場合は、たがいに批評し合うという要素が、さらに緊張感をあおります。

自分は、人の短歌に対して思ったことをうまく言えるだろうか。失礼にならないだろうか。
自分の短歌はどう評価されるのだろうか。人から見たら、まるで駄目な作品だったりするのだろうか。褒められたいな。皆さんすごく厳しいかもしれない……。

緊張感の中で歌会は行われます。

とはいえ、段々様子がわかってくると、初心者も場になじんできます。要領をつかんで、思い切って発言できます。

実際、自分が主催した歌会でもそういうことがありました。

はじめは遠慮していた人たちも、徐々にエンジンがかかってきて、すごく盛り上がったな。
進行役としてはタイムキープが大変だけど、楽しかった。
しかし、深夜。寝床のなかで私ははたと気づきます。

これでは、だめなんだ。

たとえば、10人が1首ずつ短歌を持ち寄った歌会だとします。

3首目くらいで、初心者や知り合いのいない人も、積極的に発言できるようになったとしましょう。

でも、そのときには、2人分の短歌の批評は、終わってしまっています。

歌会では、自分の短歌が批評されることだけでなく、他人の短歌を批評することもまた楽しみであり学びではありますが、そうはいっても、自分の短歌に「本気」の批評を、「100パーセント」の批評をされたくて、参加しているのです。

それが、たまたま自分の短歌の順番が一番初めになったがために、批評が盛り上がりに欠けてしまったら、虚しい気持ちになることでしょう。

何より残念なのは、それが短歌の出来栄えではなくて、「順番」という自分に責任のない要素に影響されていることです。

全員の短歌が「本気」の批評を得て、高い評価も低い評価も飲み込んで帰ってもらう。

歌会はそうありたいものです。

だから、アイスブレイクが必要なのです。

6つのアイスブレイクアイデア

次のような状況を想定して、アイスブレイクのアイデアを6つ考えてみましたのでご紹介します。

  • 人数:5人~15人程度
  • 時間:5分~15分程度
  • 環境:オンライン会議システム(音声・文字入力あり)

注意点として、そもそも誰が誰かわかっていないというケースがあるため、自己紹介とアイスブレイクは同時に行うのが効率的です。

自分の名前を言ってから下記のアイスブレイクを発言してもらうと良いでしょう。

みなさんもここで紹介したアイスブレイクを是非やってみてください。

 

アイスブレイクアイデア① スマホのカバーを言葉で伝えて!

多くの人が、スマートフォンを利用している時代ですが、人それぞれのこだわりがあります。
そのひとつ、スマホカバー。どんなカバーを着せているのか。あえて、画面には映さず、言葉だけで説明してもらいます。

見えないものを説明するのは、頭を使います。どう言えば、みんなが思い浮かべられるでしょうか?

ひとつの保険として、スマホカバーがない人のために、「使っているデバイス(パソコン・スマートフォン)について言葉にする」という選択肢も用意しておくと、確実に皆が喋れるでしょう。

 

アイスブレイクアイデア② 自分○×クイズ

各参加者が自分について○×クイズを出して、他の参加者にテキストで答えてもらいます。

しかし、ただ○×クイズを出すのではなく、できるだけ○×が分かれるようにクイズを考えてもらいます。

○×が実際に半々になったときには、出題者をたたえましょう。

各自の特徴を知りつつ、思考をうながすアイスブレイクです。

 

アイスブレイクアイデア③ 苦手なことと得意なことの話

自己紹介として、苦手なことと得意なことを一つずつ言ってもらいます。

あえて苦手な話をしてもらうことで、互いを受け入れ、その後、発言を誠実に行えるという効果があります。

得意なことも話してもらい、肯定的な場でありつつ自己開示できる状況を作りましょう。

 

アイスブレイクアイデア④ 買ってよかった○○

買って良かった品物について、何で、どんなところが良かったか説明してもらいます。

話している人は、嬉しい出来事の話なので明るい気持ちになりますし、また、お得な情報なので他のメンバーは熱心に聞きます。

人の意見を聞く姿勢を自然に作れるアイスブレイクです。

 

アイスブレイクアイデア⑤ 最近観た映像作品は

2020年5月現在、外出はなかなかしづらい状況にあります。

そこで、自宅で観た映像作品(映画やドラマだけでなく、YouTubeやCMでもかまいません)について、こんな作品でした!と言ってもらいます。

ただし、絶対話の本筋は明かさないようにやってもらいましょう。ネタバレ厳禁です。

楽しみが少ない生活の中で、少しでも自分の楽しんだ経験を共有してもらいます。

 

アイスブレイクアイデア⑥ 前の人の名前から、しりとりをして自己紹介

たとえば、前の人が「鈴木かおりさん」だとすると、次の人は、「り」で自己紹介を始めてもらいます。

「り、り、理科が苦手だった田中まさるです」

次の人は「まさる」の「る」で……。「る」は大変ですね。

「ん」のときは、その前の文字でいいですよ、というのもありかも。

苦心して無理矢理な自己紹介をすることが、場を盛り上げます。

 

終わりに

さて、6つのアイスブレイクを紹介しました。

話す順番さえ進行役が決めておけば、あとは準備物のいらないアイスブレイクばかりです。

「話す順番」については深く掘り下げませんが、メンバーが固定されている会合の場合、話す順番に変化を付けた方が効果が上がるかもしれません。

名前の五十音順にしてみたり、その逆だったり、ランダムに当ててみたり。

いずれにせよ、発言していない人が出ないように、進行役はあらかじめ順番、あるいは順番の定め方を考えておきましょう

なぜか。オンラインのアイスブレイクが、音声入力の確認を兼ねていることを思い出してください。

音声がつながっていない参加者が「私はまだ発言していません」と言っても、その声が聞こえないかもしれないのです。必ず、もれなく全員に発言してもらいましょう。

 

この記事を書いた人

中本速

詩人。詩集『照らす』(大隅書店)がある。
ここ数年は短歌に興味を持ち、歌会の主催も積極的に行っている。
現代語で書き、五七五七七のリズムはわりと律儀に守る。

note  https://note.com/sknkmt02

Twitter @sknkmt02

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ただ一度生まれただけで誕生日ことしもやってきてくれるのか

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