企画概要
今回は、「歌人の人生で一番の映画を互いに鑑賞し、インスパイア短歌を作る」という企画の第3回目です。
・それぞれの歌人が「人生で一番の映画」のタイトルとレコメンドコメントを提出
・シャッフルして、それぞれの歌人が当たった映画を鑑賞
→映画の感想と、映画にインスパイアされた短歌を5首の連作にして提出
という流れです。
*「インスパイア」の内容は「映画の感想、登場人物の気持ちになる、モチーフを取り入れるなどは自由」というルールです。
これまでの記事はこちら→
今回は8名の方が参加し、互いのオススメ映画を鑑賞して短歌を作りましたので、順番に紹介していきます!
歌人のオススメ映画5:ジョー・ブラックをよろしく
オススメする人:鈴木智子さん→オススメされる人:小泉夜雨さん
自分の元に死神が現れるという一見暗いテーマに見えて、死神の行動に笑えるし、恋愛要素も楽しめて、最後は切ないのにハッピーエンドというのがたまりません。結局はよくできた人間ドラマなので、楽しんで見られてでも切なさの残る、良い映画だと思います。
小泉夜雨
こずみです。映画館には年二回くらいしか行かないひとですが、『ボヘミアンラプソディー』だけは九回観にいきました。気が狂ってる
Twitter @kozumi_yau
パッケージ裏のあらすじに「ラブ・ストーリー」と銘打ってあったので、そのつもりで観ました。でもこれは主人公のジョーとヒロインの恋の話、というだけではありませんでした。
なにかに触れるたびに、いろいろな感情・表情をおぼえてゆくジョー、そんなジョーとの生活を通じてゆっくり死と向き合ってゆくビル、「稲妻に打たれる」ような感覚に焦がれるスーザン。でてきた一人ひとりが魅力的で美しい、素敵な映画でした。去りがたい人生にしたいなあ
小泉夜雨さんのインスパイア短歌
『エンドロール』
去りがたいものをいくつも重ねつつ記憶をとじてひらけば花火
稲妻にうたれてしまう夜なのにあなたが誰かわからないまま
ささやいた答えはイエス、いつだってエンドロールはふいにはじまる
ピーナッツバターのだるい甘さなど明日をのぞむ一因として
この橋をいつか渡ってゆくときに呼ばせてほしいあなたの名前
歌人のオススメ映画6:リズと青い鳥
オススメする人:春名柊夜さん→オススメされる人:なべとびすこさん
*鈴木さんが留学直前であったため欠詠され、代理でなべとびすこが担当します。
春名柊夜
Twitter @masatokun32kt
この映画は、武田綾乃氏のシリーズ小説の二巻、「響け! ユーフォニアム 波乱の第二楽章」のスピンオフ的作品である。 恐らく初見であろうあなたに、初回で意識して欲しいことがひとつある。それは傘木希美の表情だ。所謂〝アニメ的〟な表現の少ないこの映画では、他のキャラクターはまだわかりやすい表情をしているが、傘木希美は非常にめんどくさい表情をしている。そもそも、傘木希美の持つ感情からしてめんどくさい。傘木希美の難解な感情の解像度をあげるために、傘木希美の表情や仕草に、焦点をあてて観て欲しい。
なべとびすこ
「やってみたいを、やってみよう」を合言葉に、なんでもやっている歌人です。短歌のワークショップをやったりボードゲームを作ったりしながら、よくカラオケに行っています。
Twitter @nabelab00
Blog なべとびすこのなすべきこと
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私は根暗で、明るい友人に憧れることが多かった。明るい友人は、暗い自分を救ってくれた絶対的な存在なのに、友人は他にもたくさんの人に慕われている。相手がほかの人と楽しそうにしているのを見るたびに、自分は取るに足らない存在であることを痛感する。そんな自分の過去をがっつり重ねてしまった。
友人でも恋人でも、「気持ちの強さに差がある」ことに悩んだことのある方はぜひ観てほしい。
なべとびすこさんのインスパイア短歌
『透明な籠』
知らなくてよかった籠の開け方を知ってしまって要らない両手
憧れるだけなら簡単 憧れを憧れのまま済ますだけなら
翼なら互いに持ってるはずなのに自分の背中に手が届かない
大切にしすぎた花は根腐れるそれも知ってる邪魔な頭は
幸せになってくださいさよならもハッピーエンドと呼ばせてほしい