この記事は「短歌の自由研究」シリーズの第3回としてお送りします。
みなさん、短歌作ってますか? 僕はほぼほぼ作っていません。
こんにちは、高下です。
そういえば短歌をはじめて1年半ほど経つが、作った数でいえば10もない。ワークショップや吟行へ行けば作るけれど、普段仕事から帰って「よっしゃ、一首詠むか!」とはならないのである。「よっしゃ、一杯飲むか!」にはなるんだけどなー。
こんな怠惰なことで「短歌をやってます」と言えるのだろうか。上達したければもっとアグレッシブに作っていかねばなるまい。ようし、短歌千本ノックだ!
いや待て、千本ノックは今のご時世、いきすぎた指導になってしまう。ここは穏便に「一日一首」にしよう。
ちょうどnoteで毎日日記をつけているので、その日にあった印象深い出来事を短歌にしてみよう。そしてそれを日記のタイトルにすればいいのではないか。
ということで試しに1ヶ月やってみたので、簡単な解説とともに発表したい。
高下 龍司(koge)
「まあいっか」「わかっちゃいるけどやめられない」「他力本願」を心のクリーンナップに据える会社員。隙あらばアルコールを摂取するので基本電車か徒歩移動。
Twitter @kooooge
自選短歌
エアコンとコンニャクのコンいっしょかないっしょじゃないかないっしょじゃないな
短歌発表
※短歌をクリックするとそれぞれの日記を見ることができます。
6月1日(月)
そうめんが食べたかったのに居酒屋で注文し忘れ、コンビニで買って帰ろうと思ったらコンビニにも売っていなかった。コンビニって世の中の全てが揃ってるんじゃないの?
6月2日(火)
新型コロナウイルスの影響で会社には時差出勤が導入された。これまで9時に出勤していたのが10時になったのだ。1時間といえば新幹線で新大阪から名古屋まで行けるじゃないか。ただし戻ってくるにはもう1時間必要だけど。
6月3日(水)
晩酌のおつまみが冷奴と冷たい茶碗蒸しだった。冷奴はともかく、茶碗蒸しも冷たいものをチョイスするとはもう夏が来たに違いない。花鳥風月のみならずお酒のアテにも季節を感じることができるとは、なんと趣のあることだろうか。
6月4日(木)
新型コロナウイルスの影響であちらこちらに手を消毒するアルコールが置かれるようになった。よく行く立ち飲みも例外ではなく、ポンプに入った消毒用アルコールが置かれている。しかしそのポンプにはテプラで「手◎ 指◎ 顔面△ 水割×」と印刷されていた。これぞ酒場ギャグである。
6月5日(金)
なんと今日はストロベリームーンの日だった。特に見たいという気持ちはないが、仕事帰りに空を見上げれば見られるならせっかくなので見たいという思いでいた。仕事は定時に終わるかと思われたが、先方の不手際により残業を余儀なくされた。くたくたで仕事を終えて空を見上げたら、晴れているのにちょうど月の周りだけ雲がかかっていてストロベリームーンを確認することはできなかった。まじか。
6月6日(土)
世の中の時間管理がすごい。宅配も時間指定すればその時間帯に届くし、カップ麺は3分でできる。今日見つけたコンビニのカップ焼きそばは熱湯をかければ1分で戻るという。勇んで買って作ったが、かなり歯ごたえのある焼きそばができあがった。
6月7日(日)
私は髪の毛が肩くらいまであり、ブリーチもしているせいで髪が痛みがちである。コンディショナーだけではバッチバチの仕上がりになってしまうので、TUBAKIのプレミアムリペアマスクというヘアケア界の抑えの切り札みたいな商品を買った。パッケージには「週1〜2回の使用」と書いてあって、使ってみたらたまげるほどサラサラになった。
6月8日(月)
政府が全世帯に配るといってなかなか届かなかったマスクがついに届いた。もう世間ではマスクの供給力は回復し、不足して困っているということもなかったが、良くも悪くも評判になったいわゆるアベノマスクが本当に届いたことに感動した。未だ使わずに飾っている。
6月9日(火)
明日は健康診断だが、だからといって前日だけ摂生してもしかたがない。いつも通りの量お酒を飲まないと正しい審査結果が得られないではないか。というのが酒飲みの共通認識である。なので二日酔いで臨むのが正しい礼儀作法なのである。そんな屁理屈の話。
6月10日(水)
郵便受けに「昆虫の王者・ヘラクレスオオカブト販売中!」と書かれたチラシが入っていた。昆虫の王者とうたっても、なんの王者でもない業者に捕まえられ売られているのがなんかおかしかった。最後は苦しまぎれのダジャレで締めた。
6月11日(木)
海ぶどうやフルーツのぶどうを食べてる時って「ぶどう、ひとつぶどうぞ」って言いたくなるよね。で、だいたいシーンとなるよね。みんなも気をつけて!
6月12日(金)
夜にオンライン飲み会があるのをすっかり忘れて飲みに行き、酔っ払ってしまったがなんとか始まる直前に思い出した。遅れて参加する旨を伝えてあわてて家に帰り、とりあえずシャワーを浴びて涼んでいたらそのまま寝てしまった。あの時はすまん。
6月13日(土)
17時半から豪雨になる予報が出ていて、ばっちり豪雨になった。夜に見たものまね番組もおどろきのそっくりさだった。今ならどちらもすごいと讃えられるが、世が世なら不穏な術を使う者として魔女裁判にかけられてもおかしくないことだろう。
6月14日(日)
このコロナ禍の影響で笑点までもリモート大喜利をするようになった。番組はちゃんと進行していたが、どうも行楽師匠が赤ら顔でろれつがまわっていないように感じる。酔っ払ってる? これもリモートならではである。
6月15日(月)
コンビニやチェーン店などのスマホアプリを入れていると、よくクーポン券が届く。スタンプカードのようにスタンプを貯めて得る割引ではなく、特になにもせずとも割引になるのでどうしても価値が薄れてしまう。なのであまり気に留めていないのでいつの間にか期限が切れてスマホの中から自然に消えていく。はかないことである。
6月16日(火)
カレーが好きなので半永久的に食べられると思っておかわりしたら超満腹になってしまった。よく考えたらこれはキーマカレーだった。ひき肉の量を考えていなかった。げっぷ。
6月17日(水)
焼きそばが好きだ。スーパーやコンビニの3食入った麺を買って、普段は2回に分けて食べるけど、たまにいいことがあった時はお祝いとして全部作って大皿に盛って全部食べる。焼きそば好きとしては至福である。なんとぜいたくなことだろうか。
6月18日(木)
ここのところ電子マネーやQRコード決済の使用頻度が格段にあがった。その油断もあって、ふと財布を見たら現金が302円しか入っていなかった。いくら使わないからといってもあんまりだろう。小学生だってもうちょっと持ってるぞ。
6月19日(金)
開幕が延び延びになっていたプロ野球がついに開幕した。無観客試合ということもあり、例年よりテレビ中継が多いように感じる。喜んでテレビ観戦をしていたが、やっぱり後の番組の兼ね合いで21時になったらスパッと放送が終わってしまった。無観客でもそこは変わらないのね。
6月20日(土)
野球は昨日はナイターだったが、今日はデーゲーム。接戦で食い入るように観ていたら17時で放送が終わってしまった。またか。その後、ひいきにしているチームに満塁ホームランが飛び出したのだけど、あと5分中継していればその瞬間を見られたのにと、勝ったのに残念だった。
6月21日(日)
やらなければならないことが山ほどあるのにやる気が出ない。それは締め切りが押し迫ってないからであろう。これは未来永劫変わらない人類の課題である。たぶん縄文人も納期ギリギリになるまで土器を作らなかったに違いない。
6月22日(月)
昼はごつい肉のハンバーガーを食べ、地鶏炭火焼をつまみに酒を飲み、晩ごはんはハンバーグを食べた。肉づくしだ。でも大好きだから全然問題ない。もっと食べたい。
6月23日(火)
画像データの整理をしたいが、まあいっかと思いながら過ごしている。その他にもちょっと不便だけどできないこともないし…みたいなことって色々あると思う。それらは「やるぞ!」と立ち上がらなければ、改善されずになあなあになっていくものである。だって面倒なんだもん。
6月24日(水)
ずいきを初めて食べた。こういう見た目の食べ物(フキとか)は苦手な傾向にあるが、食べてみたらナスのような食感で美味しかった。人も食べ物も見た目じゃわからないものである。これもルッキズムだろうか。
6月25日(木)
朝の時点で雨は降っていなかったが、テレビで気象予報士が降る降ると言っていたので長靴を履いて家を出た。が、その後も雨が降ることはなく履いて出た長靴は自分の足裏を蒸らすだけの役割となった。
6月26日(金)
スキレットっておしゃれだ。フライパンで料理をして皿に盛らずそのまま食べたらずぼらだと言われるけれど、スキレットならOKである。それが肉でも焼きそばでも。
6月27日(土)
休日になんとなくごろごろしながらインターネットを見ているだけであっという間に時間が経っている。いや休日に限ったことではないな。望んでやっているならいいんだけど、だいたいなんとなくなので後になって「不毛だったなー」とがっくりしてしまう。有意義な休日を過ごしてぇなー。
6月28日(日)
スーパーでローストビーフが半額になっていた。いつもある800円のやつかと手に取ったらなんと2000円する黒毛和牛のローストビーフだった。恐れおののいたが、ありがたがって買って食べた。800円のやつよりかなり美味しかった。でも半額じゃなかったら買わなかっただろうな。
6月29日(月)
髪が長いのではじめて会う人によく「ミュージシャンですか?」と聞かれる。もちろんミュージシャンではないのだが、「GLAYというバンドでベース弾いてます」とか適当なことを言ってやり過ごしている。GLAYにこんなやつはいない。
6月30日(火)
キムチってたいがいの食べ物に合う。あんなにクセのある味なのにすばらしいコミュニケーション能力だ。うらやましい。
まとめ
以上、気分よく1ヶ月続けることができた。
クオリティ云々は冷蔵庫の奥の方にしまっておくとして、出来事を短歌のリズムに当てはめていく作業が楽しかったのが継続の一因だろう。
当初はこの企画のために1ヶ月だけやるつもりだったが、なんやかんやで今現在(8月19日)も日記のタイトルを短歌にし続けている。3ヶ月目前だ。まったく予想外の展開だが、この調子だとおそらくこれからも続けるだろう。
いざ短歌を作るのはなかなか難儀であるが、日々の出来事を五七五七七にあてはめる作業として接することにより、短歌がこれまでよりもグッと身近なものになったことはまごうことなき事実である。
この記事を書いた人
高下 龍司(koge)
「まあいっか」「わかっちゃいるけどやめられない」「他力本願」を心のクリーンナップに据える会社員。隙あらばアルコールを摂取するので基本電車か徒歩移動。
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