しょんぼり百人一首<2>〜ワガママ美女小野小町/お騒がせ天皇陽成院

企画

こんにちは、歌人の天野慶です。

百人一首の短歌や作者ににまつわる「しょんぼり」エピソードを発信する「しょんぼり百人一首」第2回です!

第1回はこちら

百人一首って難しそう…という方も、作者の意外なエピソードを知って、百人一首をもっと身近に感じていただけるのではないでしょうか。

今回ご紹介するのは、小野小町さんと陽成院さん。

百人一首に全く興味がなくても、小野小町さんの名前くらいは聞いたことのある方も多いかもしれません。伝説の美女とも言われた小野小町さんに「しょんぼり」エピソードなんてあるの?と思っている皆さん!ぜひ読んでみてくださいね!

わたしに会いたかったら100日通いなさい! ワガママ美女の運命は……? 小野小町

 

 

花の色は移りにけりないたづらにわが身世にふるながめせし間に/小野小町

 訳:さくらの花は色あせてしまった。長雨にあたるうちに。わたしもぼんやりしている間に、うつくしいときが過ぎてしまった。

 

伝説の美女・小野小町。1000年先まで伝わるほどの美人なら、とってもハッピーな人生だったでは? いえいえ、美しい人は美しいなりの苦労があるようです。

モテモテの小町さん。ラブレターがどっさり届きます。

「本当に好きなら、毎日家まで来て。そしたら100日目に会ってあげてもいいわ」なんて、上から目線すぎる条件を出します。

それを聞いた深草少将、雨の日も風の日も通います。平安時代なので、電車や車があるはずもなく、牛車に乗ってポクポクモーモー出かけていきます。がんばって通い続け、ついに大雪の降る99日目、雪の中に倒れて死んでしまったのでした……。

すぐれた歌人である「六歌仙」のメンバーにも選ばれ、イケメン・在原業平ともお友だち。キラキラな小町さんですが、おばあさんになってからボロボロの姿であちこちをさまよった、クロになって野原に落ちていたのを業平に見つけてもらったなどひどすぎる伝説も。もしや、深草少将の呪い?

〈花の色は〉も、きれいに咲いていた桜が、雨に降られてすっかり色あせてしまった……と、しょんぼりした歌。あんなに美しかったのに今では……と、自分をカガミで見ながらため息をついているようにもみえます。

 

犬VSサルのバトルを楽しむ。馬が好きすぎてこっそり飼う。お騒がせ天皇 陽成院

 

つくばねのみねより落つるみなの川恋ぞつもりてふちとなりぬる/陽成院

 訳:筑波山のてっぺんから流れ落ちてゆく男女川が、深い淵になるように、ぼくの恋心もつもって深くなってしまいました

 〈つくばねの〉は、だんだんと君のことが好きになって、いまでは大好きだ! というかわいらしい恋の歌。

さぞかしロマンチックな人かと思いきや……まったく反対。あばれん坊として有名だったのです。

わずか9歳で天皇になりますが、大事な宝剣を振りまわして遊んだり、犬とサルを戦わせて楽しんだり、家臣の別荘の生垣を壊したり、もう大暴れ‼

摂政(天皇のかわりに政治を行う人)の藤原基経が「やってられないよ!」と家に引きこもってしまうほど。

天皇をやめたのは16歳のとき。その後〈つくばねの〉の歌をおくった相手と結婚します。これで落ち着くかと思いきや、暴君っぷりはエスカレート。屋敷で34頭もの馬を飼い、家来たちと野山を駆け回り、またもや人の家を壊して回る

40才を過ぎてから歌合わせ(2チームに分かれて歌の勝敗を決める短歌バトル)を開きますが、歌のテーマはなんと「夏虫の恋」。どんな歌合わせになったのやら。

当時としては驚くほど長生きの82才でなくなるまで、変わらず変わった人なのでした。

 

百人一首についてもっと詳しく知りたい方へ

今回も百人一首のなかから2つのしょんぼりエピソードをご紹介しました。

もっと百人一首について知りたい!という方は、以下もぜひチェックしてみてください。

 

この記事を書いた人

天野慶

短歌人会同人。歌集に『つぎの物語がはじまるまで』、『テノヒラタンカ』(共著)。
『ちはやふる』(末次由紀)の93首目、95首目に短歌を提供。
絵本『ママが10にん!?』(絵・はまのゆか)が「第10回ようちえん絵本大賞」を受賞、幻冬舎の「はじめての百人一首シリーズ」は10万部を突破するなど、幅広いフィールドで活動している。
 
Twitter  @utataneko57577
 
自選短歌

この道は春に花降る道となるパラダイスとは変化するもの

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