大阪の遊園地「ひらかたパーク」で「ひらパー吟行」をしよう!

レポート

みなさん、こんにちは。かつらいすです。

先日、なべとびすこさんの企画で、遊園地で短歌をつくってきました。

結論を先に言うと、めっちゃ楽しかったです!!

今回のレポートでは、

短歌にはこんな楽しみかたがあるよ!ということと、

それを遊園地でやると、めっちゃ楽しいよ!ということを

お伝えできればと思います。 

かつらいす

なべとびすこさん主催の「短歌ど素人の会」をきっかけに、2014年から短歌をつくり始めました。知れば知るほど広がってゆく大きな海のような短歌の世界を、これからもゆるゆると旅していきたいです。

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自選短歌

目を閉じて私の髪は赤毛って想像したら少し楽しい

入園

ひらパーのエントランス。入る前から観覧車が見えてわくわくします! (写真:窪下恵)

 

 

今回行った遊園地は大阪のひらかたパーク、通称ひらパーです。

かつてはブラックマヨネーズの小杉竜一さんと吉田敬さん、現在はV6の岡田准一さんが登場するCMなども放送されていて、
大阪らしく、おもしろそうな匂いのする遊園地です。(実際、おもしろかったです!)

ひらパーの園長室はこんな感じです。まるで、悪役のボスの部屋。(写真:木田智美)

*この記事に載せている写真は同行者のみなさん(木田智美さん、橋爪志保さん、窪下恵さん、なべとびすこさん)からお借りしました。写真のコメントは、全てかつらいすが書いています。

昼のひらパー

園内のどこからでも見える巨大な観覧車。色づかいがかわいい。(写真:窪下恵)

吟行って、どんなことをするの?

短歌には「吟行」という楽しみかたがあります。

広辞苑によると「吟行」とは

➀詩歌をうたいながら歩くこと

作句・作歌のため、同好者が野外や名所旧跡に出かけて行くこと

だそうです。

今回は、➁の吟行をしてきました。

ひらパーで遊んで、そこで見たものや感じたことをもとに短歌をつくったというわけです。

リスザル

ひらパーはリスザルにも会える遊園地!(写真:なべとびすこ)

流れとしては、こんな感じでした。

 

➀昼のひらパーで遊ぶ

➁お茶休憩をしながら各自、短歌をつくる

➂また、遊ぶ (‘ω’)ノ

④夜ごはんを食べて休憩、短歌を仕上げる(一人二首ずつ)

⑤作者名をふせて短歌を読む、感想・意見を話し合う

⑥作者発表

⑦夜のひらパーで遊ぶ (イルミネーションが最高!!!)

え、「遊ぶ」多くない? いや、いいんです。これが、ひらパー吟行です!

カチンコチン

冷蔵庫の寒さを体験できる「カチンコチン」(写真:木田智美)

小さな動物たちを見たり(リスザルやレッサーパンダがいました!)、

ジェットコースターに乗ったり(こわすぎて記憶があまりありません)、

冷蔵庫の中に入って探検したり(温度を下げるためにおやじギャグをしゃべる装置がありました……伝わりますか?)しながら、短歌のタネを探しました。

とにかく、ひらパーは楽しい。

吟行の楽しさ

吟行のいいところは、ほとんど準備なしで気軽に短歌を楽しめるところ

その日感じたことや見つけたものを新鮮なうちに言葉にして読み合う楽しさを味わえるところです。

 

もちろん、ひらパーのような遊園地で
普通に遊ぶだけでも十分楽しいのですが、
短歌というかたちにするために、
感じたことをいろいろな角度から眺めたり、
どういうふうに切り取るかを考えたりすることが
ゲームのようでおもしろいです。

 

さらに、その日のうちにお互いの短歌を読み合うことで、
新鮮なうちにフィードバックを得られます。

他のかたの短歌を読んで
「これ、短歌にしたかったけど、できへんかったやつや!」と
悔しくなることもあるけれど、
同じものを見たり体験したりしたメンバーでわいわいと話し合うのは
とても楽しいです。

 

メリーゴーラウンド

それぞれ好きな馬や馬車を選んで乗りました(写真:木田智美)

どうやって短歌をつくるか

そうは言っても、遊びながら、その場で短歌をつくるなんて難しそう……
と思うかたもいると思います。

私も短時間で短歌をつくるのは、どちらかというと苦手です。
いくつか、吟行を楽しむヒントになりそうなことを挙げてみます。

1.気になったものを写真に撮る

「吟行」といえば、ペンとノートを持ってメモをとりながら歩く、

という方法ももちろんありますが、

あとで思い出す手がかりになるなら写真でもOKです。

キューピッド

薔薇園の天使像(写真:木田智美)

ひらパーには乗り物だけでなく、動物コーナーや薔薇園など、
思わず写真を撮りたくなる場所がたくさんありました。

ばら

1月下旬でしたが、いろいろな種類の薔薇が咲いていました(写真:橋爪志保)

ばら2

グラデーションの綺麗な薔薇(写真:橋爪志保)

2.主役じゃなさそうなところにも目を向けてみる

遊園地の主役といえば、なんでしょうか。

いま、「遊園地」という言葉から皆さんが一番に想像したものが、たぶん遊園地の主役もしくは目玉となるようなものです。

主役のように目立つものは遊園地に行かなくてもなんとなく思い浮かべることができますが、

実際に行ったからこそ発見することが何かあるはずです。

それを探してみましょう。

3.想像をひろげてみる

見たり聞いたり体験したりしたことをそのまま短歌にしてもいいのですが、
そこから自由に想像をひろげていくのも楽しいです。
「これ遊園地でつくった短歌ってわからないんじゃない?」というぐらいでもOKです。

4.完成しなくても気にしない

その日の発表までに納得のいく短歌が完成しなくても、気にせず遊びましょう。
その場で完璧なかたちにする必要はありません。

拾ったタネをひとまず短歌のかたちにして、
できたてほやほやのアイデアを見せ合うだけでもかなり楽しいです。

うまれたてのアイデアは、もちろんそのままの姿で大事にしてもいいし、
家に連れて帰って、時間をかけて育ててもかまいません。

 

さて、それでは最後に、今回のひらパー吟行でうまれた短歌を
イルミネーションの写真と一緒にお楽しみください。

(ややこしいですが、写真と短歌は関係ありません。)

コーヒーカップ

夜のコーヒーカップ(撮影:窪下恵)

 

メリーゴーラウンド馬の目のうえの亀裂凛々しい眉毛のような/木田智美

薔薇園の凍ててアーチの天使像弓矢欠けなお鋭い目つき/木田智美    

だんだん細部にクローズアップしていくような視点の移動が巧みです。

冬の空気の凛とした感じも伝わってきました。

天使像が鋭い目つきをしている、という観察ポイントがいいですね。

夜景

観覧車から見降ろした夜景(写真:木田智美)

 

屋外のストーブめっちゃ無謀でしょ晴れの日に泣いたこともあったな/なべとびすこ

ヒーローの才能がない 空を飛ぶときの背骨のひどい婉曲/なべとびすこ    

漠然とした正義感や勇敢さなどではなく、

「背骨」という具体的なものでヒーローの才能を感じているところが

この歌のポイントだと思います。

ひらパーには実際にスーパーマンのようなポーズで空を飛べる乗り物がありました。

イルミネーション

卵型のボートに乗って水路を進みます(写真:なべとびすこ)

 

えいままよこの世をジェットコースターみたいに下るとき目はとじて/橋爪志保

冬薔薇の枯れかたこわく棘ばかり見ていた空のやや低い日に/橋爪志保     

ジェットコースターの歌は、勢いのある始まり方で、とても説得力を感じました。

この世をジェットコースターみたいに下る」という表現が好きです。

薔薇の歌は、こわいからこそ棘ばかり見ているという心情と空の低さがリンクしているようです。

イルミネーション2

ライトアップされた鉄骨が綺麗!!(写真:なべとびすこ)

 

やたらある自販機のアイスソフローズン冬の陽を受けてなおさら輝く/窪下恵

永遠にイントロだけが流れてるコーヒーカップはゆっくり回る/窪下恵    

冬のアイスの自販機は、おそらく誰にもボタンを押されることなく静かにずっとそこに立っています。

それが一台ではなく、やたらあって、冬の陽を受けながら輝いている。

とてもうつくしい景だと思います。

 

アイデアのうまれるところ園長をENCHOと呼ぶときのそよ風/かつらいす

コンディション良好な日の土を踏むプレーリードッグも夢の中/かつらいす 

短歌を考えているときに、星野源の「アイデア」が流れていたのでそのまま使ってしまいました。

なんと安易な。

イルミネーション3

宙に浮かんでいるような幻想的なランタン(写真:なべとびすこ)

 

最後まで読んでいただいた皆さま、ありがとうございました。

ひらパーのイルミネーションイベント「光の遊園地」は3月1日まで開催されています。
2020年は好評につき3月20日(金・祝)~4月7日(火)にも追加で開催されるそうです。)

お近くのかたは、ぜひ!!

ひらかたパーク公式ページ

もちろん、ひらパー以外の遊園地でも、どんどん吟行をしてみてくださいね。

最後になりましたが、楽しい企画をしてくれたなべとびすこさん、一緒に遊んでくれた皆さん、

ありがとうございました!!

 

この記事を書いた人

かつらいす

なべとびすこさん主催の「短歌ど素人の会」をきっかけに、2014年から短歌をつくり始めました。知れば知るほど広がってゆく大きな海のような短歌の世界を、これからもゆるゆると旅していきたいです。

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自選短歌

目を閉じて私の髪は赤毛って想像したら少し楽しい

 

ゲスト

木田智美(きだともみ)

1993年3月24日生まれ。大阪府在住。吹田東高校在学中に俳句甲子園出場。大学在学中に関西俳句会「ふらここ」入会。俳句雑誌「奎」同人。挿絵担当。句集に卒業制作「シュークリーム」(2015年、私家版)

ノート https://note.mu/kidatomomi

自選俳句

さっきまでピアノの部屋の蝶だった

窪下恵

下の読みは けい でも めぐみ でもどちらでも(名乗り方は「けい」なのですが)。混迷中です。

自選短歌

ねむりたくて眠るたましい 生まれたての手はこんなに小さい

橋爪志保

2013年に作歌を始める。京大短歌を経て、現在は同人誌「羽根と根」所属。第二回笹井宏之賞にて永井祐賞受賞。2021年4月に第一歌集『地上絵』上梓。Twitter @rita_hassy47
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通販 https://hassytankashop.booth.pm/

自選短歌

I am a 大丈夫 ゆえ You are a 大丈夫 too 地上絵あげる

なべとびすこ(鍋ラボ)

TANKANESS編集長兼ライター。短歌カードゲーム「ミソヒトサジ<定食>」「57577 ゴーシチゴーシチシチ(幻冬舎」、私家版歌集『クランクアップ』発売中。

Twitter @nabelab00

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自選短歌

ふるさとと呼ぶには騒がしすぎる町 でもふるさとを他に知らない

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